音楽とフランチャイズ
フランチャイズのもうひとつの意味
フランチャイズとは、本部が構築したシステムを加盟店が有料で提供を受けるビジネスの枠組みです。
でも、それなら音楽とフランチャイズって一体どんなビジネスだと思いますか?音楽教室のフランチャイズのことでしょうか?
実は、今回の「フランチャイズ」とは、野球でよく使われる「本拠地」という意味で、ビジネスではありません。良く使うのに、フランチャイズビジネスの話題ばかりを考えてしまい、「本拠地」という意味をつい忘れてしまいますね!
それでは、『フランチャイズ(本拠地)』が、音楽と一緒に使われている例を二つご紹介しましょう。
鹿児島市の音楽フランチャイズ制度
『公共スペースや民間施設の空間など、音楽の練習場所として活用が可能な場の情報を発信し、誰もが音楽を楽しめる環境をつくる制度で、利用者の会場使用は無料。
なお、利用団体(個人)には、ご協力施設様やその地域でのイベント等の演奏をご協力いただきます。』(かごしま文化情報センターHPより)
この制度は、鹿児島市の『文化薫る地域の魅力づくりプラン』活動の一つです。
だれもが市内の活動拠点を「フランチャイズ:本拠地」として練習に利用し、そこでのイベントを通して市民に音楽を提供できる仕組みです。
この活動拠点として登録されている場所は、『鹿児島市民文化ホール、谷山サザンホール、市民アートギャラリーのほか、商店街・民間施設等』となっています。(鹿児島市資料より)
本格的なホールで練習できる(それも無料)なんて、他の自治体の方にとっては羨ましい限りですね。昨年度の実績では、1年間に9団体が音楽フランチャイズ制度を利用しました。吹奏楽、管弦楽、ピアノ、合唱等のさまざまなグループが、それぞれの本拠地で練習を行い、そこで無料演奏会やワークショップを開催したのです。
文化薫る地域の魅力づくりに大きく貢献したのではないでしょうか。
新日本フィルハーモニー交響楽団
音楽でフランチャイズという言葉を使っているもう一つの例をご紹介します。それは、新日本フィルハーモニー交響楽団です。
『新日本フィルハーモニー交響楽団は、墨田区とのフランチャイズ提携に基づき、すみだトリフォニーホールを拠点として演奏活動をおこなっています。
オーケストラの公演活動をこのホールで行うことはもちろん、すべてのリハーサルも同じ舞台で行い、一貫した音づくりをめざしています。
全国初の本格的なフランチャイズオーケストラは、すみだトリフォニーホールの顔となっています。』(すみだトリフォニーホールHPより)
かたや、新日本フィルハーモニー交響楽団は、そのHPの「教育・社会貢献」で、次の様な表現をしています。
『1989年墨田区音楽都市構想宣言を受け「すみだトリフォニーホール」という素晴らしい音楽活動の本拠地を得た新日本フィルは、まさしく墨田区に根ざしたオーケストラといえます。芸術と社会との関わりにますます関心が高まるなか、今ではホールとの協働事業として区内全域に活動を拡げ、より内容を充実させた多様なニーズにこたえるプログラムを展開しています。』
鹿児島市の例でも感じましたが、お互いがお互いの価値を認め、それぞれの力を結集して地域のために貢献をしていくという協業が、しっかりとプログラムされていると感じます。
この二つの例を改めて見てみると、「フランチャイズ」という言葉の本当の意味が見えるような気がします。
「ビジネス」であれ「本拠地」であれ、本部とパートナーがしっかりと信頼感で結ばれて、お互いが自分の良さを最大限に活かす活動こそ、「フランチャイズ」と言えるのです。
あらためて、フランチャイズビジネスの本質を、しっかり心に留めておきたいと思います。