大切に使い継がれてきた「のれん」を知る
今日はちょっとフランチャイズの本題から離れて、日本情緒漂う「のれん」のお話をしましょう。フランチャイズに加盟することにはある意味、フランチャイズ本部の「のれん」を使わせてもらうことでもありますから、まったく無関係なお話ではないかもしれません。
さて、まず「のれん:暖簾」とは、何でしょうか?
のれん(暖簾)とは、店先あるいは部屋の境界に日よけや目隠しなどのために吊り下げる布のことである。商店の入り口などに営業中を示すため掲げられ、屋号・商号や家紋などが染め抜かれていることも多い。(Wikipediaより)
元々、「暖」(あたたかい)「簾」(すだれ)という漢字から解るように、「寒風を遮る厚い布」が語源です。(その頃は、夏用のものは「涼簾」と呼んだそうです。)風や日差しを避ける為に吊られた布が、そのうち目隠しとして利用されるようになり、そこに屋号や家紋などが染付されることで、店そのものを現す言葉として使われるようになりました。意味は少し違うものの、よく似た使われ方の言葉に、「かんばん:看板」があります。「のれん」は店そのものを、「かんばん」は商品や店の人を指す言葉として使われています。
さて、店先につるす「のれん」にも、様々な種類や約束事があったことをご存知でしょうか?浅草の老舗のれん専門店「べんがら」のホームページ等から、のれんの「トリビア」をご紹介しましょう。
【のれんの種類】
1.日除けのれん
大きな1枚布を道路に張り出す形で掛けたのれんで、太鼓のれん・日除け幕とも呼ばれます。石や分銅で下隅を固定しており、布には大きく店名や業種が書かれています。今でもノスタルジックな老舗感を醸し出すのに使われるこののれんは、道が広い江戸で広まったそうです。狭い道路だと邪魔になるため、京都や大坂では許可されなかったとか。
2.のれん
三尺七寸のものが標準長。余りが出る奇数が縁起数ということで、三幅(105cm)五幅(180cm)七幅(238cm)が多いそうです。
3.水引のれん
店の軒先間口一杯に掛ける、短長(30cm~40cm)のもので、元はちり除けと鴨居の上の荒壁を隠すのが目的だったとか。やがて商店の雰囲気づくりに使われるようになりました。こののれんはずっと仕舞わず出したままで使われました。
4.長のれん
五尺三寸の長さのもの。目隠しのために作られたものです。店の外と中を目隠しするためだけでなく、店の中と家との目隠しにも使われました。特に京都では質素な日常生活を隠すために使われたのだそうです。
【のれんの色】
のれんには、業種によって色の約束事があったらしく、これを取り違えると町の笑いものになったとか。もちろん、今ではそんなことはありません。
1.紺色/藍色
手堅い商売を行う商家の色と言われます。また、藍色の染料が虫よけになるため、呉服商や酒造業に使われました。
2.柿色
元は高級な遊女を呼ぶことができる料亭のみだったが、だんだん高級でなくても掛けるようになり、最後は下流のお店でも使われたとか。同様に浅葱色も遊所で使われた色でした。
3.茶色
煙草商、薬種商でよく使われていた色。取り扱う商材の色合いと似ているからでしょう。
4.白色
菓子商や食べ物屋さん、薬種商で使われました。砂糖の色だからというのがその理由。昔は砂糖も薬だったのですね。
5.紫色
高貴な人しか使えない色だったため、のれんでは「禁色」として使えませんでした。特別な金融機関から借金をしている人が「紫木綿」ののれんを掛けさせられたという話も残っており、それほど特別な色だった事がわかります。
今では形も色も自由に選べる「のれん」ですが、色々な意味やルールがあったんですね。私たちの先人は、「のれん」を商売の様々なサインとして使ってきた事がわかります。
「のれんを守る」「のれんを分ける」「のれんを汚す」など、商店そのものを指す言葉として使われる「のれん」という言葉。日本の文化の一つとして、大切に守って行きたいと感じました。