フランチャイズビジネスで収益を上げるとは
フランチャイズビジネスで収益を上げる方法と言えば、もちろん一番は売上を伸ばすことです。次は、原価を見直すとか固定費を下げるとか、コストの圧縮ですね。この二つに取り組むことで、利益が拡大するというのが商売の基本です。しかし、大手フランチャイザーの場合はそれほど単純ではありません。
米マクドナルドは、2015年5月4日に発表した経営再建策の中で、世界中の約6800店の直営店のうち、3500店舗を閉店あるいはフランチャイズに売却することを発表しました。業績悪化のために、不振店を整理するための方策と考えられました。もちろんそれもあったと思われますが、実はそこにはフランチャイザーならではの収益モデルがあったのです。
マクドナルドのフランチャイズ契約には、2種類あります。
1.コンベンショナル契約《店舗用設備を買い取る方式の契約。最長契約期間は10年間。》
2.ビジネス・ファシリティーズ・リース(BFL)契約《店舗・設備等全てをリースし店舗運営を行う方の契約。標準的な契約期間は3年間。》
両方とも、ロイヤリティ収入を得ることができる上、経営リスクを背負わなくても済むという点で、直営に比べて安定した収益を得ることが可能です。また、コンベンショナル契約の場合には売却益が、BFL契約の場合には、月々のリース料収入が入るため、本来のハンバーガーショップで上がる収益よりも大きな収益を上げることができます。
つまり、直営店を減らし、フランチャイズ店を増やすということは、経営リスクを下げて収益を上げるための確実な方策なのです。
マクドナルドやモスバーガーなどの様な大手フランチャイザーの場合、配下の店舗の利益がどうなのかというのはもちろんですが、直営/フランチャイジーのどちらをどれぐらい展開するかという方針ひとつで、大きく収益構造が変わってしまいます。こうなると、大手フランチャイザーにとっては、直営店舗は少なく抑え、主にフランチャイジーによる運営を行う方が良いのではないかと思ってしまいますね。しかし、この考えとは真逆の事例もあるのです。
大手コーヒーチェーンのスターバックスコーヒージャパンは、その店舗のほとんどを直営で運営しています。(空港や遊園地などの特殊商圏のみ、ライセンス事業という形態での運営を行っています。)また、2015年には株式の上場廃止を行い、米スターバックスコーヒーの100%子会社になりました。これは、店舗オペレーションやメニュー構成などのすべてについて、米国本部の意向をスピーディーに末端まで徹底し、コンビニの100円コーヒーなどの新しい流れに対応するためとも言われています。もちろん、スターバックスコーヒージャパンが安定的に利益を産んでおり、今後も成長が見込める見通しだと本社が考えていることが、大きく影響していると思われます。
直営なのか、フランチャイジーを募るのか。フランチャイザーが収益を上げていく道のりには、様々な選択肢が存在します。事業自体での収益モデルはもちろんですが、フランチャイズビジネス全体の収益モデルをしっかり考え、トータルに利益を上げていくことこそ、フランチャイズビジネスの醍醐味と言えるのでしょう。