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世界に花開くカレーライス

日本人の国民食であるカレーライス、皆さんはどのくらい食べていますか?では、日本で一番大きいカレーレストランチェーンはどこだと思いますか?

そう、『カレーハウスCoCo壱番屋』です。現在では、国内1,301店、海外155店合計、合計1,456店(平成29年8月末現在)もの巨大チェーンレストランとなった『カレーハウスCoCo壱番屋』は、「最も大きいカレーレストランのチェーン」として、2013年1月17日にギネスに認定されています。

1978年に愛知県西枇杷島町(現清須市)で夫婦二人が始めた「CoCo壱番屋」1号店が、日本はもとより、世界一のカレーレストランチェーンへと成長した秘密はどこにあったのでしょうか。

『カレーハウスCoCo壱番屋』(以降ココイチ)の平均的なカレーの価格は、600円~700円程度です。この価格、日本ではファストフードに分類されています。ファストフードチェーンが海外進出をする際は、現地の物価に合わせて価格調整を行うのが一般ですが、ココイチはそれを行わず、あくまで日本で提供している価格そのままを設定しました。また、味も国内そのままとしました。もちろん、ライスは日本米を使用しています。既に現地のカレー文化が定着している海外で、日本のカレーとして差別化を図ったのです。結果的に、国内のイメージとは逆の高級路線となり、現地のローカルフードとの競合を避けることに成功しました。

ココイチの魅力と言えば、トッピングや辛さを選べること。言い換えると、オーダーメイドのカレーライスを作ることができる点ですが、このスタイルも海外で好評で、リピーターを増やす要因になっているようです。もちろん、日本流のサービスが徹底されていることも、高級感と合わせて好感度をアップさせています。

さて、みなさんは、ココイチの「ブルームシステム」をご存知でしょうか?「ブルーム」とは、花が開くという意味の英語であり、いわゆる「のれん分け」制度です。

独立を前提に入社した社員は、既存の店舗で接客や調理などを学び、ステップを踏んで店長へと昇格します。その後は、人事・経理など店舗運営に関するノウハウを習得したうえで、経営者にふさわしい能力があると認定された社員だけが、フランチャイズ店オープンの資格を取得できるというものです。

入社時の資金は必要なくロイヤルティも不要。さらに、給料を得ながらノウハウを学ぶことができるので生活に困ることが無く、腰を据えてフランチャイズ化の準備を進められるのは、一本立ちしたい人には大きなチャンスです。しかし、この制度で独立してフランチャイズ店のオーナーになれる割合は、入社した人間の約1割と言われており、かなり狭き門です。その分、その関門を無事パスして一本立ちした社員のフランチャイズ店は、成功率が高いのも当然と言えるのかもしれません。

2015年秋、ココイチを運営する株式会社壱番屋は、ハウス食品の子会社となりました。少子高齢化で国内市場が縮小する中、主力商品のカレールウの市場を海外へと伸ばしていかなければならないハウス食品と、かねてよりハウス食品とカレールウの開発で提携してきた壱番屋の、より安定的に材料調達を行い経営を安定させたいという思惑が一致した結果でした。ココイチは、世界のハウスの一翼を担い、大きく花開いたのでした。

さて、ココイチ創業者の宗次徳二氏、直美氏夫妻は、2003年にNPO法人イエローエンジェルを設立。経営から卒業し、ボランティアの道へと進まれました。2007年には、私財28億円を投じて名古屋市中心部に専用音楽ホールを建設。『音楽・スポーツ・福祉・ボランティア等各分野において夢や目標を持ち続け努力している方々を応援します。』(NPO法人ホームページより)とし、ハウス食品への株式売却で得た資金は、「宗次エンジェル基金」の設立へと繋がりました。

孤児院出身で、大変な苦労を重ねて成功をつかんだ徳二氏の人生は、誰もが身近な味として口にするカレーライスを世界一のチェーンレストランに成長させたココイチの成長と重なります。宗次エンジェル基金を通し、また多くの若者が花開くことを信じたいと思います。