淘汰が進むシルバービジネス
急速な高齢化の進展が指摘されて久しい日本社会。2000年時点では2200万人だった高齢者人口は、2017年時点では3514万人に達しています。
フランチャイズの世界でも活況のシルバービジネス。今、高齢者向けビジネスの「デイサービス」「宅配配食ビジネス」に注目しています。
「デイサービス」では、たとえば「だんらんの家」「樹楽」が紹介されています。「だんらんの家」は、むやみに事業所数を増やさず「全国100社・300店舗まで」に限定することで、高い質をたもっているとのこと。またFCを開く際には、店舗は戸建て民家を活用しているため、手すりを設置するなどの、最小限の改装費用でオープンすることが可能ということです。
また、「樹楽」の運営元の有信アクロス株式会社は、「ネットカフェ」を全国に展開。単なるアミューズメント施設ではなく、「くつろぎの空間」と定義し、150店舗を運営する実績を持ちます。20代~30代を中心に提供してきた快適な空間を、『「慈愛にあふれたくつろぎの空間」として高齢者の方たちにも提供したい』という思いから、デイサービス事業に参入しました。
一方、「宅配配食ビジネス」では、「シルバーライフ」に注目したいと思います。『東洋経済ONLINE』によると、2007年創業の株式会社シルバーライフは、(1)高齢者向け配食サービス「まごころ弁当」「配食のふれ愛」のフランチャイズ本部の運営と加盟店への食材販売、(2)高齢者施設等への食材販売「まごころ食材サービス」の展開、(3)相手先ブランドによる冷凍弁当のOEM販売の3つを事業の柱とする食材製造販売会社です。高齢者向け配食サービスでは、2ブランド合計店舗数563店舗(2017年7月末)と業界第一位で、2017年10月にマザーズに新規上場しました。
『東洋経済ONLINE』にて、同社の清水貴久社長は、こう語っておられます。
「社会保障の費用を見ても、1990年前後では約47兆円程度でしたが、今では約120兆円に増えています。そのうち半分が年金です。このまま同じレベルの社会保障を維持したとしたら2030年代には170兆円必要になると言われています。働ける世代が減少していくのにこれは不可能な数字と言わざるを得ません。だから国は社会保障を減らしていかざるを得ない。そうすると、売上の大部分を介護保険に頼っているようなビジネスはこの先10年15年で立ち行かなくなると思います」
「すでに介護保険ではカバーできない部分が出てきていて、そこで我々のような介護保険制度がなくても実費だけで成り立つシルバービジネスが最後の選択肢として出てくるという状況なんです」
淘汰が進むことが予想されるシルバービジネス。高品質のサービスと、業界の先を読む目が、ますます必要とされそうです。