次々とスーパーと提携、とくし丸
とくし丸って、聞いたことがありますか?以前このコラムでもご紹介しましたが、その誕生は2012年のこと。同社ウェブサイトを開くと、「とくし丸は、究極のセレクトショップです」とあります。
『事業構想』によると、代表の住友達也氏は、1981年に徳島県でタウン雑誌『あわわ』を立ち上げ、県内で絶大な人気を誇る一大メディアに育て上げた人物なのだそうです。『あわわ』から身を退いた住友氏が買い物難民問題に着目したきっかけは、徳島の中山間地域で暮らす自身の母親が買い物難民化していたことからでした。
同社ウェブサイトにはこうあります。「スーパーマーケットは、店舗が大きければ大きいほど品揃えが豊富になり、魅力的だと考えられがちです。が、本当にそうなのでしょうか?高齢者の方々からは『広すぎて、目的の商品を見つけるのに苦労する』『必要な商品を買い揃えるのに歩き疲れる』という声があがっています。若く健康な人達にとっては、品揃えの豊富さはとてもありがたいことなのですが、お年寄りには、それがかえって大きな負担になっています」
「とくし丸」の軽トラックには約400品目、約1,200~1,500点が積まれ、3日に1度は買い物することが困難なお年寄りのお宅を訪問。期せずして、見守り隊としての働きも果たすことになりました。
そんなとくし丸のネットワークが、様々なコラボレーションにより、全国に広がりつつあります。その最新情報をご紹介しましょう。
『日経新聞』によると、スーパーのサンリブ(北九州市、佐藤秀晴社長)がとくし丸と提携し、2018年3月13日に販売車両の運行を始めたとのこと。市街地でも高齢化で「買い物難民」が増えるなか、移動販売で顧客のニーズに応えるのだそうです。
また、『流通ニュース』は、関西スーパーマーケットが2018年3月26日、金剛店(大阪府富田林市)で「とくし丸」5号車を開業した、と報じています。昨年1月に中央店(兵庫県伊丹市)で1号車を開業し、8月に名谷店(兵庫県神戸市)で2号車、9月に西郷店(大阪府守口市)で3号車、12月に瓢箪山店(大阪府東大阪市)で4号車を開業しています。
『朝日新聞』(2018年3月19日付)はまた、認知症への理解を高め、日々の見守り活動に役立ててもらおうと、とくし丸が徳島市で販売員らを対象に「認知症サポーター講習会」を開いた、と報じています。こちらは、とくし丸の見守りの役割の強化とも言えそうです。
徳島と社会事業や公共の福祉に貢献する「篤志」の意味が込められている「とくし丸」。その思いは、海を越えて、ますます日本列島を席巻しそうです。