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障害を持っている人がチョコ職人に

7月4日付の『日本経済新聞』が、愛知県豊橋市に本店があるチョコレートブランド「久遠チョコレート」を紹介しています。他のチョコレートブランドと、何が違うのでしょうか?

実は、働くのは主に障害者で、中には本格的にショコラティエ(チョコ職人)を目指す人もいるそうです。運営法人代表理事の夏目浩次さん(41歳)は「目指すのは障害者が何十年も働ける場所。手間暇かけた手作りのチョコを楽しんで」と記事中で語っておられます。

同社ウェブサイトによると、もともとは土木工学出身で、都市計画、鉄道の駅、道路や橋などの設計コンサルを専門にされていたという夏目さん。

「当時、交通バリアフリー法、鉄道やある一定の規模を持つ乗降客の駅をバリアフリー化しましょうという法律ができたんです。でも実際は、障害を持つ人のためにここにエレベーターをつくりましょう、ではなく、いろんな都合でだいたいプランを変えられてしまって。『夏目君は理想を言い過ぎだ、仕方ないという言葉を覚えなさい』と言われて悶々としていたときに、ある本がきっかけで、障害を持った人の給料が月に1万円にも満たないという世界を知って、ええっと驚いたんです。それで地元の豊橋のいろんな福祉団体や事業所を回ってみたら、当時、その地域では月平均3,000円から4,000円が、障害を持った人がもらう額だったんですね」

その実態に納得のいかなかった夏目さんは、障害を持った人を3人雇用して、自分でパン屋を起業したというから驚きです。

前述の『日経新聞』によると「もっと賃金を上げたいと考え、パンと違って作り置きができるチョコに着目した」とのこと。そうして立ち上げられた「久遠チョコレート」は、有名ホテルの商品を手掛けるショコラティエの野口和男さんを迎え、味も本格派です。

直営の店舗や製造拠点は現在、東京都や横浜市など6カ所にあり、フランチャイズは京都市の1号店を皮切りに、障害福祉サービスの事業所などが次々と手を挙げ20カ所を超えているそうです。

口に運ぶとほろ苦く甘い1粒のチョコレートが、こんなにも社会を変えていると思うと、なんだか一味も二味も、味が濃厚に感じられますね。あなたの近所で「久遠チョコレート」を見かけたら、是非一度味わってくださいね。