FCをもっと知ろう!

働き方改革とフランチャイズ

2018年6月29日、参院本議会で「働き方改革関連法案働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」-通称、働き方改革関連法案が可決・成立しました。

改正される法案は、雇用対策法、労働基準法、労働時間等設定改善法、労働安全衛生法、じん肺法、パートタイム労働法(パート法)、労働契約法、労働者派遣法の労働法の改正を行う法律の通称です。今回の改正の柱は3つあり、それぞれ「働き方改革の総合的かつ継続的な推進」、「長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等」、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」となっています。

この改正に伴い、各企業では法律が施工される2019年4月に合わせ、対応が必要になっています。そんな中、独自の方法で「働き方改革」を進めている企業があるのでご紹介します。

福島県郡山市に本部を置く『幸楽苑ホールディングス』は、このたび直営とフランチャイズ加盟のラーメン店約400店舗を、12月31日午後3時から翌年1月1日にかけて休業することを発表しました。この措置は、同社の働き方改革の一環だそうです。新年の営業開始は1月2日午前10時45分を予定しています。

ショッピングセンターの中のフードコート等に展開している約100店舗や、2017年にペッパーフードサービスとフランチャイズ契約を結び、大きな話題となった「いきなり!ステーキ」(福島市)についても休業の可否を検討しているとのことでが、この休業により同社の月間の売り上げは5%ほどの減収が見込まれるそうです。しかし、同社の新井田昇社長は、「働く人のモチベーションをあげるほうが、長期的には会社として成長すると確信している」と話しています。

飲食業界では、どこも人手不足が大きな問題になっています。普段でも人手不足の上、年末年始はますますシフトに入るメンバーが少ない時期。このような現状で無理に人を集めてお店を開けるよりも、思い切って全店舗を休みにして、従業員の満足度を高めようという新井田社長の大きな決断です。本来、年末年始と言えば、飲食業界はいつもよりも売上が上がる時期のはず。しかし、目の前の利益よりも、多少の損をしても従業員の労働環境改善に取り組むことで、長期的に見れば従業員の安定確保を図ることができるのではないかということでしょう。

平成も残すところあと数カ月になりましたが、よく考えてみれば平成の初めのころはコンビニも24時間営業ではありませんでした。また、大晦日や元日は休んでいる店舗がほとんどでした。30年の月日の経過の中で、ライフスタイルの変化により24時間営業や年中無休が当たり前の社会になってきましたが、本当に「24時間営業、年中無休」が必要なのか考える時期がきているのかもしれません。

現在国会で入管法改正案が議論されており、今国会で成立すれば平成31年4月に施行されることになります。そうすれば、外国人労働者が増え、飲食業界やコンビニ業界の人手不足は解消されるかもしれません。しかし、そうなれば益々多くの労働者が「休めない国」になってしまいます。もちろん、24時間営業が必要な地域や職種もあるでしょうし、それがあることによって社会がうまく回っていることも確かです。しかし同時に、大晦日や元旦の2日間ぐらい、家族や大切な人とゆっくり過ごすのがあたりまえの生活ではないかと思うのです。

がむしゃらに働いてきた昭和・平成の時代から、生活者としてのあたりまえの気持ちを持てる労働環境が実現する時代へと、本当の「働き方改革」が進んで行けばと思います。