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巨大フランチャイズも9席から

万里の道も一歩から。

2017年の『グローバル・フランチャイズ・ランキングTOP100』を見ると、1位は言わずとも知れたマクドナルド。2位はKFC、3位はバーガーキングと続きます。

2018年次々と現れる巨大フランチャイズ企業の名前を見て行くと、あら?と7位で視線が止まりました。そこにあったのは、『マリオットインターナショナル』です。

このグローバル・フランチャイズ・ランキングとは、「市場拡大」「システムの収益」「安定性と成長」などの指標を基準に作成されたものだそうで、そこに並ぶ企業の業種はさまざまです。ちなみに、日本からはKUMONが唯一、16位にランクインしました。

さて、ランキング7位に輝いた『マリオットインターナショナル』は、ホテル部門のトップフランチャイズ企業ですがどれぐらいの規模かご存知でしょうか?

『マリオット・インターナショナルは、130を超える国と地域に6,700を超える宿泊施設を擁し、2017会計年度には220億米ドル以上の収益を計上している世界最大のホスピタリティ企業です。J・ウィラード・マリオットとアリス・マリオットによる創業以来、マリオット一族の指揮のもとに90年以上にわたる経営を続けてきた弊社は、アメリカ合衆国ワシントンD.C.の郊外にあるメリーランド州ベセスダに本社を置いております。』(企業ホームページより)

マリオットの最初のホテルがオープンしたのは1957年ですが、会社の創業はそれから30年も遡る1927年。何と、マリオットの始まりは、“A&W”のフランチャイズショップで、たった9席のルートビアスタンド『ホットショップ』でした。

仲間と共に店を始めたJ・ウィラード・マリオットは、7年後には別の場所にも店舗を開店。そして、店の顧客がスタンドで購入した飲み物を飛行機に持ち込む姿を見て、航空機の機内食事業を思いつきました。

こうして1937年に始まった機内食事業は、1963年には10の空港と25の航空会社にサービスをするようになり、1966年には海外進出を果たします。1967年の創立40周年には「マリオットコーポレーション」と改名し、翌年にはニューヨーク証券取引所に登録を果たしました。当時、ホットショップチェーン全体の従業員は2万人にも上っていたそうです。

しかし、当時のマリオットは飲食業界の巨大企業として名をはせていたものの、ホテルチェーンとしてのイメージはありません。先に書いたとおり、マリオットの最初のホテルのオープンは1957年。バージニア州アーリントンにオープンした365室のモーターホテル「ツインブリッジ」でした。その後、1960年代には、空港周辺でのモーターホテルを開業して行きました。しかし、そのスピードは遅く、今のマリオットホテルのスタートとは到底思えないものだったのです。

そんなマリオットに転機が訪れたのは1977年でした。「ホテルを所有する企業」から、「ホテルを経営する企業」へと経営方針を変更したのです。

ホテル建設には巨額の資金が必要ですが、一旦建築した建物を投資家に売却し、投資家と長期管理契約を結ぶという手法で資金繰り問題を解決。この手法により、マリオットは急速にホテル数を伸ばして行ったのです。

1997年のマリオットホテル1500軒のうち、マリオットが完全に所有していたホテルは、何と6軒だけだったというから驚きですね。しかし、マリオットが巨大ホテルチェーンとして成功した理由は、それだけではありません。「ホテルを経営する企業」に貫かれた『マリオットウェイ』によるものです。

グローバル・フランチャイズ・ランキング第7位のマリオット。その経営理念には、コアバリューとして『マリオットウェイ』という言葉が使われています。それは、『同僚、顧客と地域社会に対する奉仕(貢献)』です。創業者のJ・ウィラード・マリオットは、質素で誰よりも働き、人を大切にしました。従業員を大切にすることで、顧客を大切にできると考え、その理念を後継者に確実に引き継いだのでした。

『世界最大のホスピタリティ企業』と自ら名乗るマリオット。飲食業からホテル業へと移り変わっても、そのホスピタリティを貫くことで、変わらぬ成長を遂げ続けています。