音楽でわかるFCの戦略
音が作り出す一体感 ~どこに行っても同じ曲?~
インバウンド客が押し寄せる『ドン・キホーテ』でも、家の近くの家電量販店でも、いつも閉店間際に駆け込むスーパーでも、ふと気づけばエンドレスで同じ曲がかかっているのにお気付きでしょうか。そう、店舗のテーマソングです。中には、鮮魚売り場でかかっているテーマソングがあったりするそうですが、いずれにしても耳に残っています。このようなわかりやすいテーマソングなら、誰でも「あ、この曲がかかってるから○○に来てる!」と認識できますよね。
しかし実際には「はっきり認識はしていないけれど、どの店に行っても同じ曲」を聞いているかもしれません。今回は、チェーン店向けにそのような「同じ音」を提供しているサービスについて、ご紹介します。
株式会社USENをご存知ですか?音楽配信を中心とした放送会社です。1961年に大阪有線放送社として開業後、業務店向けに音楽を配信する事業を中心に展開し、もうすぐ60年になろうとしています。そんな株式会社USENがチェーン店等向けに展開しているサービスが、「オーダーメイドチャンネル」です。
『―USENのチェーン店様向けオーダーメイドチャンネルとは―
本部で編成したBGMやCM(コメント)を複数店舗で配信したい企業様は、チェーン店様向けの専用アレンジが便利です。貴社専用のチャンネルをご用意し、大型の設備投資をせずに自由なチャンネルのカスタマイズを実現。専用アレンジではオリジナルコンテンツの制作・編成ほか、店内放送設備の保守までサービス提供が可能です。一括配信はもちろん、特定店舗だけで流すCM(コメント)の出し分けなどの細かなカスタマイズもできます。』(ホームページより)
このオーダーメイドチャンネルは、大きく3つの目的ごとに『音』をカスタマイズし、タイムテーブルで組み合わせて放送します。
まず、第1に『BGM』です。
例えば、コーヒーショップのチェーン店舗であれば、朝の時間帯はライトな明るいポップス、昼は食欲をそそるイタリアン調、昼下がりはボサノバでゆったりして、夕方から夜にかけてはジャズ…のように、時間帯に合わせて購入意欲をそそる音楽BGMの組み合わせを企画提案・調整してくれるのです。
第2は『顧客向けアナウンス』です。
こちらは、顧客に向けたアナウンスです。さきほどのコーヒーショップであれば、朝は「今日も元気に出していってらっしゃい」や「朝の目覚めにオススメのコーヒーは…」など。お昼時なら、「今日のオススメサンドイッチは…」に「今日のお得なスペシャリテは…」、そして学生が多く訪れる放課後時間帯には「現在この店舗ではアルバイト募集中です」など。夕方から夜にかけては「今日も一日お疲れ様でした」「明日も朝からお待ちしています」などでしょうか。店舗ごとのスタッフ教育は不要です。チャンネルを合わせておくだけで、時間が来たら、きっちり全店舗で放送してくれるのです。
最後に、第3の『スタッフ向けサイン』です。
こちらは、開店前の準備確認、開店時のチェックポイント、店内見回りやトイレ清掃などの誘導、閉店前準備の呼びかけなどを効果音やメロディで知らせるものです。こちらも全店舗で標準化できるメリットがあります。
これら3つの音を組み合わせることで、店内オペレーションはじめ、場の雰囲気をチェーン全体で統一することができるのです。
いかがですか?耳で聴く音のルールやパターンはあまり目立ちませんが、その分、知らない間に刷り込みが行われているかもしれません。音からわかるチェーンの戦略。一度耳を澄まして聞いてみると、新しい発見があるかもしれませんね。