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テイクアウト営業の注意点

周りの飲食店を見渡すと、営業自粛(2020年5月現在)の中、「お持ち帰り始めました!」とか、「テイクアウトやっています!!」と書かれた看板が目につきます。売上が軒並み急減する中、とにかく少しでも現金収入を稼ぐためにと頑張っている飲食店です。

そういう地元のお店のために、自治体もPRサイトを作ったり、持ち帰りメニューに補助を出したりと、あの手この手で応援エールを送っています。

しかし、実はそれは、「今だから許される(?)法律違反」が隠れているかもしれないのです。いったいどんな事に注意が必要なのでしょうか?

■飲食店営業の許可だけでできないこと
 1.お弁当をたくさん作り、店頭で並べて販売する
 →「そうざい」「弁当屋」という営業許可種目の追加が必要
 2.焼肉店が生肉を販売すること
 →「食肉販売業」等の許可が必要
 3.特製調味料などを瓶詰して販売すること
 →「ソース類製造」「調味料等製造業」などの許可が必要

このように、実際に「何をどのように販売するか」は、営業種目や販売許可の届け出が義務付けられています。

わかりにくいのは、お弁当を作り置きして販売するのはダメであっても、通常メニューを配達するのはOK。たとえば、注文を受けてからお弁当を作り、販売するのはOKだということです。

単に販売するかどうかだけでなく、どのように販売するかについても、その許認可と大きく関係があるということですね。詳しいことは、実際にデリバリーやテイクアウトを行う前に、所轄の保健所に連絡し、どうしたら違反にならないかをしっかり確認することが大切です。

■商品をネットで販売するために必要なこと

テイクアウトで商品が順調に売れてきたら、次にネット販売を考えると思います。SNSなどで声掛けして実際の店舗にお客さんが来てくれるのとは違い、ネット販売にはそれなりに準備が必要です。

不特定多数の消費者が、ネット上に掲載されている写真や説明文を元に「想像」して購買するネット販売では、「特定商取引法」という法律により、消費者が保護されています。

この法律により、ネット販売では「必要的記載事項」を記載することが義務付けられており、実際のページでは、これをわかりやすく表示した「特定商取引法に基づく表示」ページを準備します。

そこにはネットショップの運営事業者名や連絡先、送料などに関する基本事項や返品・交換に関する記載を行う必要があります。

また、食品を販売するのであれば、原材料やアレルギー源の表示など、「食品表示法」で定められた表示を掲載するのはもちろん、商品自体にもシールなどで添付する必要があります。添加物などについても表記の決まりがありますので、類似の商品がどのように販売されているか、じっくりと見て参考にされるのが良いでしょう。

これから梅雨に向かって気温・湿度が上がる日本列島は、通常でも食中毒に大変気を遣う季節がやってきます。コロナショックに立ち向かうため、テイクアウトやネットショップに活路を見出す飲食店が急増している今、それぞれがしっかりと自覚し、必要な対応をきっちり取る事が急務です。

いつかコロナショックが収束に向かいポストコロナを迎えたときに、飲食店としての新しい経営の柱をしっかりと構築できるように、自分たちが行っているテイクアウトやデリバリーが、法的に正しいかどうか、今一度見直してみる必要があると言えるでしょう。