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フィットネス業界は高齢化社会の優良業態

長寿世界一と健康寿命の関係

現代日本は超高齢化社会だと言われる。

世界保健機関(WHO)の定義では65歳からが高齢者であり、65歳から74歳までを「前期高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」と呼ぶ。

内閣府が6月14日に公表した2022年版高齢社会白書によると、65歳以上の人口は3,621万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は28.9%となった。

そんな中、最近よく聞くようになったのが「健康寿命」という言葉だ。

厚生労働省よると2021年度における日本人の平均寿命(0歳の人の平均余命のこと)は、男性が81.47歳、女性が87.57歳で、世界有数の長寿国である。

健康寿命というのは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、平均寿命との差は男性は約9年、女性は約12年であるという。

シンプルにこの数字だけ見ると、男女とも人生の最晩年の10年前後はなんらかの不自由を感じながら長生きしている人が多くいるということになる。

しかしそれでは余りにももったいない。せっかくの世界でも一二を争う長寿を楽しむためには「健康寿命」を伸ばすことがとても大切ではないか。

ロコモティブシンドロームを撃退せよ

加齢による足腰の衰えや不具合表す「ロコモティブシンドローム」という言葉も最近良く聞くようになった言葉のひとつだ。

すでにおよそ4700万人が悩んでいるという調査結果もあり高齢化の進む日本では、最早「国民病」と言っても過言ではない。

日本の人口が1億2580万人だから、なんと38%近くが膝や腰に不安を抱えて暮らしているのである。

これは健康寿命と深く関わっている。

高齢者が要介護になる原因に関節疾患や骨折、転倒があるが、厚生労働省による平成19年国民生活基礎調査によるとこれらを合わせたいわゆる運動器疾患は、要介護になる原因の1位である脳血管疾患にほぼ匹敵する数字になっているのだ。

ここから分かるのは、適切な運動をすることで健康寿命を大きく伸ばすことができるのではないかという可能性だ。

メディカルフィトネスは健康寿命の騎手となれるか!?

とは言え、今まで運動をしてきたことのない人にとって、どのような運動が適切でどのくらい行えば効果的なのか判断することは難しい。

そこで医療的なエビデンスに基づく指導が行われるメディカルフィトネスが、今、大きな注目を集めている。

メディカルフィトネスとは狭い意味では「医療機関が運営するフィトネス」だが、広い意味では「医療的要素を取り入れたフィトネス全般」で、医療機関ではない通常のフィトネスクラブも続々と参入してきている。

また、デイサービスや高齢者施設でも、体幹や足腰を鍛えるプログラムや認知症予防を目的としたプログラムを導入するところが増えてきた。

これにより「生活習慣病の予防や改善がしたい」と望む人に、敷居を低くして「安全で効果的な運動」を提供できるようになりつつある。

こうして社会や高齢者の意識が健康寿命へと向いていけば、今後ますますフィトネスとメディカルの融合は進んで行くに違いない。