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フランチャイズの広告費事情

フランチャイズビジネスの強みはのひとつに、一店舗では難しい大規模な広告を本部が行ってくれることがあると考えがちです。フランチャイズ本部が全体の利益のために、全国規模の広告を実施してくれて、知名度や露出が勝手にアップしていると思ってはいませんか?

しかし、実はそうではないかもしれません。
確かに、本部がCMや雑誌広告の企画を行ってくれますが、その費用はチェーンに加盟する全体が負担する仕組みになっています。

これを、フランチャイズ用語では、(宣伝)広告分担金と呼んでいます。つまり、みんなから集めた宣伝広告費を、本部が代表して使っているのです。
では、その分担金とはいくら位なのでしょうか。実際の例で調べてみましょう。

  • 某清掃代行チェーン   20,000円/月
  • 某学習塾チェーン    15,000円/月
  • 某不動産チェーン    月額0万~12万円(地域による)
  • 某清掃用品販売チェーン 毎月売上に対して1%
  • 某食品チェーン     売上高の4%

これらの例を見ると、広告分担金の考え方には、1.全店舗定額制、2.地域ごとに定額制、3.売上高に対して定率制という考え方があり、実際の金額も千差万別であることがわかります。

この広告分担金として集められる金額の差は、本部が宣伝広告にどのくらい費用を掛けるのかの違いと考えられますが、そうなると、金額だけでは良し悪しは決められません。少ない方が負担は軽いかもしれませんが、まったく知名度が無く営業的に苦戦するぐらいなら、ある程度のお金で全国的な知名度を得てくれたら・・・と思うかもしれません。業界や業種によって、適当な金額というのを量ったとしても、それでは頭一つ先に出ることは難しくなるのです。

さて、宣伝広告費というと、CMや雑誌広告、ホームページなどと考えますが、実はそればかりではありません。典型的な例として、コンビニ業界を考えてみましょう。

コンビニチェーンでの宣伝広告費には、CMなどの宣伝費用以外に販促費が含まれています。この販促費とは、たとえば「おにぎり100円セール」とか、「おでん全品70円」等の様に、販売を促進するための値引きやおまけの費用を指しています。この費用は本部負担なので、店舗は自分の持ち出し無しで、企画に参加することができます。また、このセールにより来店客数が増え、その結果店舗の売り上げは増加します。さて、売り上げが増加するとどうなるのでしょうか。

コンビニというフランチャイズのシステムは、売上高に定率で本部チャージ料がかかります。売上高が増えるということは、本部チャージ料も増えるということを意味します。この本部チャージ料には、広告分担金が含まれていますから、本部の宣伝広告費(販促費)も増え、また次のセールを企画できるのです。すると、店の売り上げが増え、また本部チャージ料が大きくなり・・という好循環が起こるのです。

この好循環で大きくビジネスを成功させているのが、セブンイレブンです。

セブンイレブンでは、2015年2月期の宣伝広告費が1店舗あたり330万円を超えています。同時期の他のコンビニチェーンが、80万円以下であることを考えると、突出していることがわかります。それだけ積極的に宣伝広告を行い、同時に店舗でのセール企画を実施していると言えるのです。と同時に、セブンイレブンに加盟し、出店する場合(土地と建物は自前のタイプを想定すると)、他のコンビニチェーンと比べ、本部チャージ料が10%程度高く設定されています。しかし、一店舗当たりの平均売上高を見ると、他の大手コンビニチェーンと比べて20%~30%ほど高くなっており、さきほどの好循環が起こっているのがわかります。

毎月かかる広告分担金は、新規事業としてフランチャイズ加盟店舖の運営を始める事業者にとっては重いものです。広告の効果はどうなのか、事業に好循環をもたらすものなのか、よく見極めて、納得のいく広告戦略をとる本部とWin-Winで行くことが大切です。