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クローズドフランチャイズビジネス

フランチャイズビジネスと言えば、フランチャイザーがオープンにフランチャイジーを募集し、ブランドの価値を広げていく仕組みです。魅力あふれるブランドや効率的な運営ノウハウで、より多くのフランチャイジーを得ることが、フランチャイザーの利益を大きくするものだからです。

しかし、逆にクローズドなフランチャイズビジネスがあることに気づきました。それが、レンタカーサービス大手の、ニッポンレンタカーです。では、そのビジネスのどこがクローズドなのか、理由を考えてみたいと思います。

主要な駅前に、必ずと言ってよい程赤い『ニッポンレンタカー』の看板を見かけます。時には、駅社屋の敷地内、またある時は高架の下に、営業所が設置されているところもあります。何気ないその景色に、“ニッポンレンタカー”の秘密が隠されています。

実は、これらの『ニッポンレンタカー』の営業所は、鉄道会社自身がフランチャイジー契約の元、運営しているものなのです。つまり、「列車を降りたら、駅前からレンタカーで移動する。」という流れを鉄道会社と一緒に作り上げてきたのが、“ニッポンレンタカー”なのです。それは、設立時から始まったものでした。

“ニッポンレンタカー”という言葉は、実は会社を指しているのでは無く、サービスのブランドを現しています。運営会社はニッポンレンタカーサービス株式会社です。ニッポンレンタカーサービス株式会社は、1969年に航空会社、鉄道会社、旅行会社などの出資で設立されました。以降、各地の鉄道会社等がフランチャイジーとなり、地域密着型のニッポンレンタカー事業を展開していきました。大きな特色として、ニッポンレンタカーサービス株式会社とフランチャイジーの地域会社、あるいは運営母体の鉄道会社が、お互いの株式を持ち合い共同運営の様な形をとっていることが挙げられます。いわゆる運命共同体として、お互いの利益を追求する形であり、フランチャイジーの選定は、非常にクローズであることが特徴です。

ニッポンレンタカーサービス株式会社のホームページには、次のように紹介されています。

『ニッポンレンタカーのフランチャイズシステムは、日本を代表する鉄道・バス・航空会社などの基幹交通機関の賛同をえて、国内で最大級のサービス・ネットワークを展開してきました。
全国のフランチャイジーで構成されるフランチャイズシステムは、両者で株式を持ち合うユニークで強固なシステム。その力を集結して、ニッポンレンタカーのマーケティングの下に、戦略的なレンタカー事業の展開を図っています。』

戦後、鉄道網が拡充し、高速道路の建設が進む中、鉄道会社とレンタカー会社はお互いにパートナーとして歩み続けて来ました。しかし、自動車メーカーが販売店を足掛かりにレンタカー網を拡充したり、格安レンタカーが登場したりと、業界の様相はどんどん変化してきました。しかし、レンタカービジネスの先行きが怪しくなって来た中にあっても、“ニッポンレンタカー”というブランドの価値は、既に大きく成長していたのです。

2011年、ニッポンレンタカーサービス株式会社は、M&Aにより東京センチュリーリースの連結子会社になりました。これ以降、“ニッポンレンタカー”は、東京センチュリーリースのオート部門の中核として、それまでのレンタカー事業のみならず、個人向け・法人向けのカーリース・カーレンタル事業のブランドになりました。また、昨年はタイ、今年3月からはマレーシアでのカーリース事業のブランドとして、“ニッポンレンタカー”が使われています。邦人向けには『安心と実績』を、現地向けには『日本品質』をアピールできるブランドとして、期待が集まっています。

クローズドなビジネスパートナー達が大事に育てた“ニッポンレンタカー”というブランドが、時代の波を乗り切り、メイドインジャパンの一つとして、より大きく羽ばたくことを楽しみにしたいと思います。