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“いい湯だな”を日本から世界へ

一日の終わりにゆっくりと湯船に浸かる。日々の疲れがお湯に溶けていくようで癒される。そんな時間、皆さんはお好きですか?もちろん、私は大好きです。日本人なら誰でも感じる幸せな癒し感。しかし、それが今や中国でも味わえるのをご存知でしょうか?

日本人が大好きなお風呂。現在このスーパー銭湯が中国に輸出され、庶民に大人気になっています。国内最大のスーパー銭湯チェーンである「極楽湯」が中国で快進撃を続けているのです。海外初進出先である上海の2店舗で、入館者が年間計100万人を超え、さらに、2016年11月には湖北省武漢に3店舗目をオープン。こちらも大人気となっています。「極楽湯」の快進撃はさらに続き、2017年にはフランチャイズ店を3店舗、2018年には更にもう1店舗の新規出店を予定しています。

同社の新川隆丈社長は、中国本土で10年以内にフランチャイズも含め100店舗にするという方針を明らかにしています。一時の急成長の影響か、ここ数年成長鈍化が続き、外国資本が相次ぎ撤退している中国において、スーパー銭湯「極楽湯」が好調なのはなぜなのでしょうか。

まず、湯船にゆっくりつかる生活習慣のなかった中国人が、入浴文化を受け入れた理由を考えてみましょう。

一つ目は、爆買い目的で訪日した観光客が日本の温泉文化に触れ、良い印象を持ち帰ってくれたことです。私は温泉が好きで年に数回は近場の温泉地に出かけるのですが、確かに主要な温泉地には中国人観光客があふれています。「極楽湯」が中国進出を果たした2013年ごろは、「ウィーチャット」(微信=中国版LINE)人気が高まっており、SNSの情報発信力がとても大きくなっていました。訪日中国人が発信する日本の良い温泉情報が、「極楽湯」の快進撃の背中を押したことは間違いないでしょう。

二つ目に、日本式の品質管理に対する信頼感が挙げられます。中国にも温浴施設はありましたが、決して衛生的とは言えないものだったそうです。中国での「極楽湯」でも、日本とまったく同じ衛生管理を適用しており、その「日本式」への安心感、信頼感が大きな魅力となっているのです。

しかし、日本とまったく同じ方式の「極楽湯」を開店、成功させるには、大変な苦労がありました。

まずは水質の問題です。中国大陸ではミネラル成分の多い硬水(硬度180)ばかりで、なめらかな感覚のある日本の軟水(硬度30~60)のお湯とはほど遠いものでした。そのため、「極楽湯」では、硬水を軟水に変える特殊なろ過装置を日本から導入しています。普段から軟水に慣れ親しんでいる日本人にはわからないのですが、硬水ではシャンプーやせっけんが泡立ちにくく、軟水での泡立ちは、中国人客にとっては驚くべきものでした。また、軟水湯のしっとりした感覚は、美容に敏感な中国人女性にとって「美容と健康に良い」と大評判になっています。

つぎに、これまで湯船に入ったことのない従業員や入館者に、掛け湯の仕方やタオルを湯につけないなど、湯船を汚さぬ公衆浴場でのルールを説明することも大変でした。しかし、日本の銭湯文化がSNSで詳しく発信されていることや、館内の貼り紙やリピート客の口コミなどにより、日本と変わらぬ銭湯文化が浸透しつつあるのです。

スーパー銭湯「極楽湯」には「レストラン」もあり、館内着で一日中くつろぐ家族連れで溢れています。ここは日本か中国か、ぱっと見ただけでは区別がつかない光景です。これこそ、「極楽湯」の成功の秘訣なのかもしれませんね。