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スポーツとフランチャイズ

私たちが普段使う「フランチャイズ」という言葉は、フランチャイザー(本部)が作ったサービスやブランドの看板を、フランチャイジー(加盟店)が有償で一定期間利用して営業する「フランチャイズ・チェーン」を意味しています。

しかし、フランチャイズにはもう一つ、よく知られた意味が存在しています。それは、野球球団のフランチャイズ制です。野球で言うフランチャイズとは、「各球団の都道府県保護権」の事で、『1952年に日本プロフェッショナル野球協約第38条によって制定された』(Wikipediaより)そうです。

このフランチャイズ制により、保護地域における全てのプロ野球関連行事の独占権が球団に与えられています。たとえば、読売ジャイアンツは東京都、阪神タイガースは兵庫県、福岡ソフトバンクホークスは福岡県がそれぞれの保護地域になっており、各球団は公式戦ホームゲームの半数以上を保護地域内の1個の専用球場で主催する義務を負っています。

しかし、たとえば阪神タイガースとオリックス・バファローズが一時期兵庫県と大阪府の2府県を保護地域としていた例があったように、様々な事情でこの都道府県保護権の内容はゆるやかに運用されているようです。

さて、野球におけるフランチャイズ制が「地域保護権」という事は解りましたが、実はスポーツにおける「フランチャイズ」の使い方には、別のものが存在します。それは、「フランチャイズ・プレーヤー」です。

この「フランチャイズ・プレーヤー」とは、野球に限らずチームスポーツの世界で広く使われている言葉で、『長期にわたって同一のチームの第一線で活動し続ける選手』(Wikipediaより)の事を意味します。面白いのですが、実際にチームが代わっていたとしても、長らく移籍後のチームで活躍し、そのチームを最後に引退した場合には使われる様です。反対に、最後の最後で別のチームに移籍し引退した選手は、いくら元のチームで活躍していても、フランチャイズ・プレーヤーとは呼ばれません。

このフランチャイズ・プレーヤー制度がしっかりと確立しているプロスポーツが存在します。

それは、プロアメリカンフットボールリーグのNFL(National Football League)です。

基本的には、どの球団とも交渉を行うことができるのですが、球団側からその選手に対し、他球団との交渉を阻止する切り札として使われるのがフランチャイズ・プレーヤー制度です。各球団はアンリストリクトFAになった選手1人をフランチャイズ・プレーヤーに指定することができます。その選手は所属するポジションのリーグトップ 5選手の平均年俸(規定年俸)か、前年年俸の 120%以上の契約金で 1年契約を行うことができます。

NFLにおけるフランチャイズ・プレーヤー制度とは、選手生命が3年~5年と大変短いプロアメリカンフットボールリーグの世界で、選手と球団間の契約交渉をスムーズに進めるために生み出されてきたものでは無いでしょうか。

ここまでスポーツの世界での「フランチャイズ」についてご紹介しました。よく考えてみると、野球の地域保護権とは、地域で独占的にプレーする権利、NFL等のフランチャイズ・プレーヤーとは、球団内での特別な存在(球団を代表する選手)としての権利を意味しています。これらは、私たちが普段使っている「フランチャイズ・チェーン」と同様に、「地域や集団など、区切られた範囲での権利」を表している言葉だと解ります。共通の意味があったとは、なんだか意外です。

「フランチャイズ」という言葉を耳にしたら、どのような内容なのかを考えてみるのも面白いかもしれませんね。