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最低賃金UPとフランチャイズ

2017年10月1日より、全国で最低賃金が上昇したことをご存知ですか?

主な都市の最低賃金をご紹介すると、東京都の最低賃金は958円(26円up)、大阪府の最低賃金は909円(26円up)です。各企業は、各都道府県の最低賃金額まで、雇用者の時間賃金を引き上げなければなりません。学生アルバイトなどもこの対象になります。

さて、賃金はここ数年段階的に上昇しており、低賃金で就労している非正規従業員にとっては、労働条件が改善されてきていると言えます。しかし、それでもなお人材の確保に苦労している業界が存在します。それは飲食業界です。

飲食業界を取り巻く深刻な人手不足は、厚生労働省が7月に発表した数字にはっきりと表れています。同省発表の有効求人倍率(季節調整値)は1.52倍でしたが、飲食業を含むサービス業では3.18倍となっており、全体の倍以上の人手不足に悩まされていることが分かります。他の業界に比べて、飲食業界は店舗運営の大部分を非正規従業員に依存しているので、人手不足は店舗運営の危機ともいえるのです。

人材の安定的な確保は、飲食業界にとって喫緊の課題ですが、なかなか結実しているとは言えません。そんな中、ドトール・日レスホールディングス傘下のドトールコーヒーが、非正規従業員を対象とした退職金制度を導入しました(2017年9月)。非正規従業員の待遇改善を図る事で、労働力の安定確保につなげることが目的です。

では、その退職金制度について、少しご紹介しましょう。まず、加入条件が二つあります。

一つ目は、社会保険に加入済みであること。二つ目は3ヵ月平均で勤務時間が週30時間以上であることです。つまり、ある程度の勤務ボリュームがある人が対象ということですね。
次に、退職金積み立ての内容ですが、会社が毎月100円を掛け金として積み立てる他、そこで働く従業員も月給の10%以内で1000円から20000円までの範囲で任意に積み立てができます。オリックス株式会社が提供する確定給付型企業年金基金を活用しており、年間の利率は0.3%と普通預金金利よりも高くなっています。

たとえば毎月8000円を10年間積み立てた場合、退職金は約105万円になります。勤続中、積立額は給与支給額からマイナスとなるため、所得税や社会保険料が軽減されます。また、退職金として受け取った際も一定額までは非課税となるなど、長期的な節税効果をもたらすものになります。

同社の非正規従業員は約7000人。当初は直営店や工場、本社等に勤務する従業員のみが対象でした。しかし、フランチャイズオーナーもドトール本社と同様に掛け金を拠出すれば制度を利用することができることになり、フランチャイズオーナーからの問い合わせが増えています。直営店かフランチャイズ店かに関わらず、すべての従業員が制度の恩恵を受けることができれば、全店舗での安定的な労働力確保が可能になると言えます。

非正規従業員を対象とした退職金制度は、ドトールの例が業界初です。実はこの画期的な制度の導入は、従業員の声がきっかけだったそうです。もともと同社では、福利厚生として『ハワイ研修旅行』や『健康サポート』などの制度が導入されていま。しかし、改めて非正規従業員たちの話を聞いてみると、むしろ「資産形成」面のサポートが望まれていることがわかりました。安心して働くためには、研修旅行などの一時的サポートだけでなく、資産形成など長期的サポートが大切だということがわかり、今回の退職金制度の導入に結びついたのです。

人材の安定的な確保に悩む企業が多い中、従業員が求めているものが何なのか、真摯に耳を傾けてみることで、突破口が見いだせるのかもしれませんね。