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受け継いだやきとりでふるさとを育てる

やきとりと言えば、鶏肉とネギを交互に串に刺し、炭火でじっくり焼いた一品を想像しますね。たれにするか、塩にするか、そんな味の好みはさておいて、やっぱりそこには鶏肉があります。でも、日本三大やきとりと言われる室蘭市、今治市と埼玉県東松山市のうち、何と2カ所が豚肉ということをご存知でしょうか。実は鶏肉を使うのは今治市のみ。やきとりと言えば鶏肉と思い込んでいたら、実はそうではないとは驚きです。

東松山市のやきとりは、“豚のカシラ肉”の中でも特にコメカミを炭火で焼いた串焼きを指しています。この部位も珍しいのですが、味付けもユニークです。ここでは、やきとりに味噌だれが定番です。東松山市の公式ホームページによると、元々ここに養豚産業があり、戦後の経済成長と共に増えた工場労働者向けの屋台が始まりだったそうです。東松山市は、人口一万人当たりのやきとり店が約7.2店あり全国で一番だそうです。町を挙げての観光産業と言えますね。

「『名物を世界に』をキーワードに、みそだれで食べる東松山のやきとりを日本へ、世界へ発信しています。」と語るのは、やきとりひびきを運営する株式会社ひびきの日疋好春社長です。日疋社長の祖父道夫さんは、戦後間もないころ、東松山市で日疋養鶏養豚場を始めました。しかし事業場が道路建設予定地となり、結局道夫さんは事業を諦めたそうです。次に、料理人だった父の文爾さんは、豚肉のカシラに工夫を凝らした味噌だれを付けるやきとりを考案し、事業化しました。白みそをベースにニンニクや唐辛子など10種類以上の香辛料をブレンドした「秘伝のみそだれ」です。しかし、この事業は不況の波に合いまたもや廃業。しかし、この流れは絶えませんでした。それから4年後、広告業を営んでいた好春さんに市から来た依頼とは、川越祭りで地元の味「みそだれやきとり」を出店してもらえないかというものでした。祖父や父の味を見事に復活させたみそだれやきとりは評判になり、翌年には「やきとりひびき」の1号店を出店。その後は、食の安全・正直な商売をモットーに、業界でいち早くトレーサビリティにも取り組みました。現在では埼玉県を中心に国内約20店舗の他、シンガポールとイタリアにやきとりを中心にした飲食店を経営するまでに成長したのです。

 

ひびきで使われている新型グリルは、炭火よりも美味しく豚肉を焼くことができるもので、串を縦にして周りから焼いていく方式です。このグリルの開発は、地元埼玉の企業とのコラボで開発したものです。また、地産地消で地元産の材料にこだわり、材料を使い切るための工夫を凝らしています。ひびきのやきとりは、『地元埼玉』にとことんこだわっている事がわかります。

『名物を世界に』は、やきとりだけにはとどまりません。M&Aで酒類の輸出免許を持つ企業を承継したひびきは、新たな分野にもチャレンジしています。
『すでに飲食店を展開しているアジアや欧州などのレストランやホテル、量販店などに埼玉県産を中心とした日本酒を販売する。7月末にも営業活動を開始し、秋頃の初出荷を予定。初年度5000万円の売り上げを目指す。』(ニュースイッチより)という記事にもあるとおり、昨年からは地元の酒蔵と連携し、共同で日本酒の製造を手がけています。地元での酒米の育成も目指しており、埼玉産の日本酒を世界に拡げ、地元の農商工の活性化につなげたいと考えています。

『私たちは、地元でひろっていただき、地元で育てられてきた企業です。その感謝もこめて、何か新しいことにチャレンジするとき、必ず地元のみなさんと連携していくことを考えています。昔は埼玉というと、ダサいみたいなネガティブなイメージがありましたが、最近は新しい世代の経営者が新しい発想で仕事に取り組んでいるため、埼玉のイメージが変わってきています。子供たちが郷土である埼玉を愛せるような取り組みを、これからもつづけていきたいですね』(グルメキャリーより)

埼玉を世界に発信するやきとりひびきの活動に、注目していきたいと思います。