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ファミリーマートがドンキになる日

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の発表によりますと、2018年6月度の全国コンビニエンスストアの売上高(既存店ベース)は、前年同月比1.1%増の808,094百万円と、2カ月ぶりのプラスとなりました。

実は、売上高の前年同月比プラス増は久しぶりのことで、コンビニ既存店の来店客数は今年の5月まで27カ月連続マイナスという深刻な事態だったのです。

しかし、そんな中客足を伸ばしている店舗が東京都内にあるのを皆さんご存知でしょうか。大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の手法を取り入れたファミリーマート「ファミマドンキ」です。ユニー・ファミリーマートHDとドンキホーテHDの業務提携(2017年8月)により産まれました。

客足減に悩まされている既存店舗が多い中、一体何が人を呼び寄せているのか。今回はその理由に迫ってみたいと思います。

共同実験店舗として改装されたのは東京都立川市の立川南通り店。まさに皆さんがイメージする「ドンキ」のような内装です。

例えば、棚の高さは通常のファミリーマートよりも20センチほど高く、成人男性の背丈以上の高さがあります。さらに、店内には商品がぎっちり陳列されており、コンビニのスッキリした店内のイメージとは大きく異なります。一般的なコンビニは、概ねどこに何があるという想像がつきますが、この「ファミマドンキ」は一見すると何処に何があるのか分かりにくくなっています。

「商品を探す」というゲームのような感覚を消費者に植え付けているようです。面倒と思われ省かれていた作業が、実は消費者の購買意欲を刺激するものであったのかもしれませんね。

実際に利用した方の声を調べてみると、「改装前に比べて面白い店になったし、買い物する時間が長くなった」という意見が多いようです。ユニー・ファミリーマートHDによると、店の取扱商品は約5000種類で、改装前の約1・5倍。そのうちドン・キホーテの取扱商品が約2800種類と6割を占めています。コンビニの商品は定価が原則ですが、ドン・キホーテから仕入れた商品はその原則が当てはまりません。2リットル容器の水が68円(税別)、バニラアイスが65円(税別)など、激安ぶりが目を引きます。

今回の「ファミリーマート」と「ドン・キホーテ」の共同実験店舗から得られた結果は、やはり集客に対する効果があるということです。本来なら集客効果があるとされていた雑誌コーナーは、立川南通り店では撤去されています。理由は取り扱う商品数を増やすためで、そこには代わりに女性向け用品やお風呂用品が並んでいます。コンビニの常識では考えられない試みと言えるのではないでしょうか。

立川南通り店が「ファミマドンキ」になってから、1カ月の売り上げは前年同月比約150%に跳ね上がったそうです。来店客の滞在時間が長くなり、客単価があがっているとのこと。この現状から見ると、今回の業務提携は成功と言えます。「ファミマドンキ」は今回ご紹介した店舗のほかにも目黒区、世田谷区にあり、計3店舗で集客などの効果を継続して検証していくとのことです。ファミリーマートでは、今回の共同実験で培ったノウハウは、今後全国に展開していく予定だとか。売り上げ減に悩むフランチャイズオーナーに朗報になれば良いですね。

「整然として何処に何があるか分かりやすい」というイメージが定着しているコンビニで、「商品を探す」というアイデアが新鮮なのは確かです。あなたがいつも利用しているファミリーマートが、いつの間にか「ファミマドンキ」になっているかもしれませんね。