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コンビニ3強の時代へ

群馬県発祥のコンビニエンスストアとして、多くの県民に親しまれてきた「セーブオン」159店(7月末時点)が8月31日午前7時に営業を終了しました。関西ではあまりなじみがないかと思いますが、1983年の1号店を群馬県渋川市に開店後、北関東を中心に店舗展開し、埼玉、長野、新潟、千葉、福島、山形、富山などに進出。開店から35年の長きにわたって地元の人々の生活を支えてきた地元のコンビニです。

群馬県内に159店(7月末現在)あった店舗は、一部の完全閉店を除き、改装を経て約1カ月後から順次、「ローソン」に産まれ変わります。同社はその後、ローソン(東京都)と2017年1月に結んだフランチャイズ契約に基づき、メガフランチャイジーとしてローソン店舗の運営に当たります。

セーブオンという店名の「セーブ」というのは「SAVE=節約」という意味が込められていて、群馬県内5店で販売していた上州名物「焼きまんじゅう」(一串150円)をはじめ、48円アイス、298円弁当など価格は安いが質のいい商品を多く取り扱ってきました。また、地域色のある商品づくりに定評があり、コアなファンも多く存在しています。今回の全店閉店により取り扱いを終了する予定だった「焼きまんじゅう」は、ローソン伊勢崎緑町店で継続(価格も据え置き)して販売されることが決まりました。取り扱い店舗は減ってしまいましたが、この発表には常連客からも喜びの声が上がっているそうです。

今回のように中堅コンビニが看板を下ろす例が後を絶ちません。

2010年、ファミリーマートが「am/pm」の吸収統合を発表。かつては1000店舗以上存在した「am/pm」でしたが、それからたった1年で消滅してしまいました。さらに2015年には、「スリーエフ」、「ポプラ」とローソンが資本提携を発表。現在は、一部店舗をそれぞれ「ローソン・スリーエフ」、「ローソン・ポプラ」という看板に掛け替え、共同店舗として営業していますが、ほとんどの店舗は「ローソン」に変わることとなりました。2016年9月には、当時業界3位だったファミリーマートが「サークルKサンクス」と経営統合を発表。これにより「ファミリーマート」が「ローソン」の店舗数を上回り、業界第二位に浮上したのは記憶に新しいと思います。

「セブン-イレブン・ジャパン」、「ファミリーマート」、「ローソン」の大手3社は、再編を含め、いち早く全国展開を行い、空白地を無くそうとしています。

特に、現在約2万店を展開するセブンイレブンは、2019年秋にも沖縄県に進出し“空白地”を解消する予定です。当初の出店数は10店舗から20店舗で、半年から1年かけ沖縄県内全域に店舗を広げ、2024年2月までに、沖縄県内で約250店舗を展開予定と、その勢いはとどまることをしりません。

今回、セーブオンが看板を下ろすことで、群馬県内のコンビニ業界勢力図は大きく変わります。群馬県内店舗数(7月末現在)はセブンイレブンが462店と最多。2位セーブオン159店と、4位のローソン122店との統合で、3位のファミマ(サークルKサンクス含む)124店を大幅に上回ることになりました。

他県で先行してローソンに切り替えた旧セーブオンの店舗では、知名度アップなどの効果で「売り上げが3割増えた」というオーナーの声が上がっているそうです。群馬県にも3強コンビニ時代が到来し、顧客獲得競争はさらに激しさを増していくことでしょう。

全国で共通の店舗が増え、どこに行っても同じ商品があるというのは、確かに便利なことですが、「焼きまんじゅう」のような地元に愛される独自の商品も、少しはどこかに生き残ってほしいものですね。