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インバウンドで伸びる着物レンタルFC

京都の町を歩くと、夏には浴衣、冬には着物を着こなす男女の姿が、よく目に留まるようになってきました。会話に耳を澄ますと、英語・中国語に韓国語―――。海外からの観光客の方々が、日本の楽しい想い出に、着物姿で街歩きをしているのです。

そんな古都の新しい風景に貢献しているのが、着物レンタルの存在です。

その盛況ぶりを見て元経営コンサルタントの畑和男(70)さんは東京・浅草で着物レンタルの専門店「浅草愛和服」を開業しました。

『M&A Online』によると、定年後は悠々自適な生活を夢見ていた畑和男さんですが、勤めていた会社の社長の一言で、余生の過ごし方が大幅に変わったそうです。

『これからは和食とか和のビジネスが伸びるらしいよ。畑さんって、むかし呉服屋さんに勤めていたことがあるよね。着物で何か新しいビジネスが出来るんじゃない?』

若かりし頃、呉服店で何年か働いた経験もあった畑さんは、着物レンタル事業を思いつきました。しかし、呉服販売と着物レンタルでは話が違うはずと、京都で実態を調査しました。すると、外国人観光客に大受けしているではありませんか。「同じように外国人観光客が多い浅草ならいける」と確信し、「浅草愛和服」を2015年に開業したのです。

「親日派が多い台湾の女性にターゲットを絞った」点が功を奏し、2016年には浅草2号店と3号店を同時にオープン。1年間いつでも着物レンタルが利用できる業界初「年間パスポート」の発行も始めました。また、2号店に写真を撮ってシールにするプリクラも導入しました。

『JTB総合研究所』によると、観光立国を国の重要な施策の一つに掲げた観光立国推進基本法成立(2007年)、観光庁設置(2008年)あたりから訪日外国人旅行者が増え始め、2013(平成25)年以降急増しました。2005(平成17)年には670万人でしたが、2015(平成27)年には約3倍の1,973万人を数え、実に1970(昭和45)年の大阪万博以来45年振りに、日本人海外旅行者数を上回ることになりました。

観光庁の調査によると、2015(平成27)年の訪日外国人1人当たりの旅行支出額は176,168円、旅行消費額は3兆4,771億円と推計されています。2020年の東京オリンピックも間近、今後もインバウンド周りのFCが、盛り上がりを見せそうです。