『楽しく美味しい』道の駅
高速道路で移動するとき、SA(サービスエリア)で休憩するのがとても楽しみです。また、知らない土地を車で旅行するときも、その土地ならではの「道の駅」をつい探してしまいます。そんなSAや道の駅が、最近とてもオシャレになっていると思いませんか?トイレやフードコートがきれいになっていくだけではありません。その土地ならではのお土産コーナー、ここにしかない焼き立てパンはもちろん、ドッグランや温泉、はたまたカプセルホテルまで登場しています。この変化はなぜ起こっているのでしょうか。その一つの理由が「民間委託」です。つまり、道の駅やSAの運営を、丸ごと業者に委託するという方法で、人やモノが作り出すサービスの品質をアップすると同時に、民間企業のシビアで確実な収益創出を狙っているのです。
さて、そんな「民間委託」を着実に受注し、実績を伸ばしている民間企業のひとつが「ダイナックホールディングス」(以下、ダイナック)です。ダイナックと言えば、サントリー系列のレストランチェーン運営会社として知られています。代表的なブランドとしては、高級和食チェーンの「燦(さん)」、「響」、カフェバー「PRONTO」、近大マグロでおなじみの「近畿大学水産研究所」など、サントリーの持つ幅広い流通力を活かしたブランド展開を進めています。しかし、なぜSAや道の駅の運営を行っているのでしょうか。
実は、ダイナックは古くからゴルフ場内レストランの運営事業に取り組んでいました。『1961年の「熊谷ゴルフクラブレストラン」の受託を皮切りに日本最古のゴルフ場「神戸ゴルフ倶楽部」など全国各地のクラブのレストラン受託運営に携わっています。』(HPより)今では、関東・関西圏で約80か所のゴルフ場からレストランの運営を受託しており、これは国内で3本の指に入る規模と言えます。不況と人口減少の中、ゴルフ場自体は減ってきていますが、その分経営の効率化が求められるようになっており、外部委託はますます進むものと考えられています。ダイナックにとってはまだまだチャンスが広がる分野なのです。ゴルフ場の受託事業に長年取り組む中、ダイナックが受託事業の第二の柱として力を入れているのが、道の駅やSA/PAなのです。
ダイナックは、現在道の駅3か所、SA/PA2か所を運営しています。たとえば、山陽自動車道「三木SA」の総合レストラン、道の駅「針テラス」の総合レストランなどの老舗から、オープンほやほやの新名神高速道路鈴鹿PA「PIT SUZUKA」なども手掛けています。このようにダイナックが道の駅やSA/PAに注力するのはなぜでしょう。まずは、「規模が大きい事」です。たとえば通常のレストラン出店と比べて、約10倍程度の売上を見込むことができ、経営的に非常に大きなインパクトを得ることができます。次に、「成長が見込める事」です。道の駅は全国で1,190か所(2019年6月)存在しますが、そのほとんどが経営的には赤字と言われています。その反面、ダイナックが経営している道の駅3か所は黒字経営となっており、この実績と信頼が、事業者の公募の際に大変大きなアドバンテージになると予想されます。この点は、さきほどご紹介したゴルフ場内レストランと同様です。
さて、ダイナックには、もう一つ大きな強みがあります。それは、多方面にわたる人材やノウハウです。サントリーグループの、飲料・食品の開発・製造・販売はもとより、コンサートホールの運営、文化施設の運営などの経験は、「食の楽しさをダイナミックにクリエイトする」という社のスローガンの通り、『楽しく美味しい』道の駅やSAとして具現化されるのです。
ダイナックでは、今年度より受託運営事業を分社化し、より高い成長へとスタートを切りました。ますます楽しい道の駅やSA/PAと出会えることを、期待したいと思います。