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O2Oを活用した集客術

O2Oとは、Online To Offlineまたは、Offline To Onlineの略称で、ネット上のサービスとリアル店舗、あるいはリアルなサービスとネットショップの集客を結びつけるマーケティング技術です。

同様の言葉にオムニチャンネルがありますが、そちらはオンライン・オフラインを統合したサービスを指していて、O2Oとは区別されています。

このO2Oの成功例として良く取り上げられるのが、スウェーデンの小さな工具店『マルメ工具店』の事例です。

マルメ工具店では、周辺に大規模なホームセンターチェーンがいくつも開店し、周りにいくつもあった同規模の小さな工具店は次々と店じまいしてしまいました。自分たちも生き残りをかけた方策を何か打ち出さないといけないという時、思いついたサービスがありました。

それは、『ToolPool』という「専門工具を“無料”で貸し出す」サービスでした。

顧客はまず、スマホから『ToolPool』のフェイスブックページに会員登録を行います。すると、ネット上で借りたい専門工具を貸出予約できるようになります。もちろん、料金は無料です。あとは、予約日に工具を店舗まで借りに行けばOK。ユーザにすれば、滅多に使わない専門工具をタダで貸してくれるのですからラッキーですね。

では、この仕組みでどうやって『マルメ工具店』は儲かったのでしょうか?

実は、ネット予約(Online)して工具を借りに店舗に来た(Offline)ユーザは、工具を使う時に使う様々な消耗品を店で買っていくのです。たとえば、クギや修繕テープなどです。もちろん、専門工具を使うためのちょっとしたアドバイスを店員にもらう際、「このクギが使いやすいよ」とか「ペンキ塗装で塗りムラが出にくいハケはこれだよ」とか言われたら、ちょっとぐらい高くても購入すると思いませんか?何といっても工具はタダで借りるのですから、それぐらい買ってあげてもという気になりますよね。

実は、この方法でマルメ工具店の売上は25%も伸びたのです。そして、この小さな工具店の成功例は、新聞などのメディアで大きく取り上げられ、ますます店舗の集客を促しているのです。

さて、次にO2Oで成功したチェーンレストラン『ガスト』の事例をご紹介しましょう。

ガストは、国内最大手の外食企業すかいらーくグループの中でも、最大のチェーンレストランとして知られています。

2019年3月現在1,964もの店舗を運営するガストでは、2014年10月に「ガストアプリ」という無料のスマホアプリをリリースしました。このアプリに登録すると、店舗でチェックインすることでお得なクーポンを入手できるため、配信開始からわずか7か月で300万ダウンロードと驚きの数字を記録。

しかし、それだけではありません。このクーポンは、何と顧客一人ひとりにパーソナライズされていたのです。

たとえば、誕生月に合わせてバースディ割引クーポンを配信するのはもちろん、以前どんなクーポンを実際に利用したのか、アルコール対象年齢かどうか、子供がいるかどうかなどの情報を元に、ベストなタイミング・内容でクーポン配信を行っています。

『アプリにクーポンを配信して来店してもらえる確率はメールマガジンの10倍にものぼる。開発コストは公開後、2か月で回収。アプリから店舗への送客効果で毎月数億円の売り上げ増が見込めているという。手薄だった30~40歳代の女性らの開拓にもつながり、着実に効果を上げている。』(2015年6月6日:日経新聞より)とのこと。大手チェーンが陥りやすい「ざっくり型」から、O2Oによる「パーソナル型」へと集客手法を転換したことで、大きな効果を上げています。

O2Oは様々な形で私たちの身近に存在しています。さっき買い物をしたお店に言った理由がスマホからの情報だったとしたら、、、それこそO2O集客の最もリアルな事例と言えるのでしょう。