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有隣堂と誠品生活がタッグ

2019年9月、日本橋にあるコレド室町テラスにて、新しいフランチャイズの形が誕生しました。

主役は1909年創業の日本の老舗書店「有隣堂」と、1989年に創業した台湾の人気書店「誠品生活」。創業110年の歴史を誇る老舗書店が、初めてライセンシーとして「誠品生活日本橋」の運営に挑むのです。

『流通ニュース』によると、今回のコラボレーションの狙いを有隣堂の松信健太郎副社長がこう語っておられます。「書籍が売れない時代となり、書店運営だけでは、経営環境が厳しくなっています。自社だけで、従来の発想での事業展開に限界を感じていました。その中で、『誠品生活』とのコラボレーションの話があり、その経営理念に感銘を受けました。本を売るだけでなく、文化の中での書籍の重要性、書籍を通じて、国家、地域を良くしていくという考え方も一致し、今回の挑戦となりました」

2018年には居酒屋、理容店、アパレルショップなどを複合した店舗「HIBIYA CENTRAL MARKET」を東京ミッドタウン日比谷にオープンするなど、書店の形に止まらない新しい取り組みを続けている有隣堂。かたや、誠品書店は文化芸術などの専門書を取り扱う書店から総合書店へと成長しさらにセレクトショップへと変貌を遂げ、今や台湾、香港、中国などに進出し、2018年の誠品グループの売上高は180億台湾元、日本円で約624億円となっています。

『東洋経済オンライン』は、特に「誠品生活」のビジネスモデルに注目しています。

台北のエリアリノベーションの人気スポットとして名高い「華山1914文創園区」「松山文創園区」。文創=文化創造産業発展計画とは、2002年にスタートした台湾における政策の1つで、「クリエイティブ産業を台湾の主力産業にしよう」という目的のもと、推進されてきました。

日本統治時代のタバコ工場がリノベーションされ、台湾デザインセンターが入居し、演劇やアートイベントが開催されたりする松山文創園区は、まさに現代台湾の文化の中心。そのテナントに、誠品グループの「誠品行旅」というホテルと「誠品生活」という商業店舗が複合で出店されているのです。

台湾における、「官」と「民」が連携した文化による地域再創造。その波が日本大陸にも押し寄せたというのが、今回のコラボレーションの背景にあります。

日本橋からどんな物語が紡がれるのか、国内外から熱い視線が注がれています。