閉店は“ビジネスチャンス!”
しばらく見ないうちに、イタリアンレストランだった店舗がカフェに変わっていたり、大型クリーニング店がフィットネスチェーンに変わっていたりします。店舗の入れ替わりは気が付かないうちにあちらこちらで起こっているものですね。
大手チェーン本部なら、別業態の店舗と入れ替え出店することで、新規オープンセールによる売り上げ増を狙う戦略がありますが、すべてがそうだとは言えません。その裏には、店舗閉店からはじまるビジネスがあるのです。
「店舗そのままオークション」とは、株式会社M&Aオークション(大桑一雄社長)が手掛けるフランチャイズビジネスです。このビジネスは、居抜き店舗の仲介をおこなうものです。『居抜き』とは、店舗を設備や内装そのまま原状復帰せずに引き渡すという意味で、引き継ぐ側にとっては、出店コストを大きく削減できるという魅力があります。
大桑社長がこのビジネスを思いついたのは、自身の経験からでした。以前、飲食店の経営を行っていた大桑社長は、自身の飲食店を閉店する事になった時、数百万円の原状復帰費用が掛かる事に大変な苦労をされたとか。開店時のコストとちがい、閉店時のコストを想定していなかったのです。その時の経験から、居抜きで次の経営者に店を引き継ぐことには、必ずニーズがあると確信していました。それ以外にも、はじめて店舗を出店する経営者にとって、店舗の内装工事や仕入れ業者探し、店舗スタッフの採用などが、どれだけハードルの高いものかを知っていました大桑社長は、「開業サポート」をビジネスの大きな柱と考えているのです。
業種ターゲットは、まず飲食業。厨房設備など、新規出店のコストが大きいため、居抜き物件には大きな魅力があるそうです。同じ意味で、美容院やエステなどもターゲットに挙げられます。買う側にも売る側にもメリットのある仲介業としての誇りから、マッチングの手数料は「仲介手数料」ではなく「マッチング成功報酬」と呼ばれています。
さて、この事業には、全国に約60ものフランチャイジーが存在します。大桑社長によると、次のような業種からサイドビジネスとして魅力を感じてもらえるそうです。
・仲介手数料がアテにできる不動産業
・リフォーム受注をアテにできる建築業
・販売先の開拓ができる食品や酒類卸業
・将来の顧問先開拓ができる士業(税理士、司法書士等)
また、業種の流行りすたりがあっても、店舗の入れ替わり自体はいつまでも発生するため、息の長い事業が可能なんだとか。昔なら、一度閉店した店舗のあとをそのまま引き継ぐというのは「ゲンが悪い」と言われたものですが、今では「初期投資コストが安く、回収が早い」「余計なコストをかけずにサービスに資金を回すことができる」とむしろ歓迎されるとか。それだけ店舗の回転が速くなっているのかもしれませんね。
また、フランチャイジーとして参入する事業者は、本事業に関しては、無店舗ビジネスが可能です。すでに何等かの事業を行っている事業者であれば、それこそ自社ビジネスの柱を一つ追加する気軽さで参入が可能と言うのも大きな特徴です。
大桑社長の目標は、あらゆる店舗の情報をワンストップで提供できるポータルサービスになることだとか。そのために、自社独自のビジネスモデルを確立し、そのノウハウを軸にした、フランチャイズシステムによる全国展開を目指しているそうです。