飲食店経営の新たな旋風!クラウドキッチン
活況を呈するクラウドキッチン
コロナ禍での巣ごもり需要で大きく業績を伸ばしたビジネスにクラウドキッチンとデリバリープラットフォームがある。
デリバリープラットフォーム・フードデリバリーサービスと言えば、大きな四角いリュック式の配達ボックスを背負って自転車に乗る配達員さんを思い浮かべる人が多いだろう。ウーバーイーツや出前館などの大手はCMで見ない日がない程だ。
では、クラウドキッチンはいかがだろうか。
クラウドキッチンとは飲食スペースを持たない、主にデリバリー専用の厨房施設のことを言う。
基本的に一般客が中に入ることは無いので外から内部の様子が分からないことや、Webで注文して配達してもらうシステムがGoogleやAmazonなどの「クラウドサービス」のようなイメージであるところから「クラウドキッチン」と呼ばれるようになったらしい。
「バーチャルキッチン」、「ダークキッチン」、「シェアキッチン」、「ゴーストレストラン」等の呼び名もあるが、いずれも実店舗を持たずデリバリーに特化しているという点ではほぼ同じものを指す言葉だと思ってよいだろう。(※「ゴーストレストラン」はこのような店舗を持たない飲食店の総称として使われることもある)
クラウドキッチンを利用するメリットは?
あなたがもし、「洋食」、「和食」、「中華」などカテゴリーのまったく違う料理を提供したいと思ったら、従来の店舗を持つ飲食店なら「レストラン」、「割烹」、「中華料理店」と言うように3軒の違う種類のお店を立ち上げて、経営していかなければならない。
そこには莫大な初期費用と毎月大きな人件費、家賃、光熱費が必要になってくる。
しかしクラウドキッチンは店舗を持たないため、内部で料理を作り分けることができれば3軒の店舗を別々に経営する必要はない。これは複数店舗運営だけではなく、もちろん単体の店舗運営でも同じことで経費をぐっと抑えることができる。
しかもクラウドキッチンには飲食業を始めるために必要な設備がすでに揃っているので、営業許可申請をするまでの時間がかなり短縮できると考えられる。
これらは今から起業しようとする人にとっては計り知れない大きなメリットと言えるだろう。
デメリットもあるにはあるが…
ではデメリットはと言うと、よく聞くのがデリバリープラットフォーム(フードデリバリーサービス)に支払う手数料が高いと言うことだ。
確かに昔ながらの家族経営の飲食店のように、お父さんが厨房に入り、お母さんがホールとレジを担当し息子が出前をこなせば900円の売上はそのまま利益となる。
それに比べればデリバリープラットフォームを使うと加盟店手数料を35%前後(2022年7月現在)払わないといけない。
これは先程の例で見ると、900円の売上のうち315円は手数料として支払わなければならず、店側に残るのは585円ということになる
ただこれをデメリットと言ってしまうかどうかは一考の余地のあるところだ。
1.配達員の雇用や代金の精算のための人員を削減でき、2.多くのユーザーがいるプラットフォーム内で選択候補になることを広告宣伝費と考える…それならば、そんなに高いものではないのかもしれない。
また、もうひとつデメリットと言われているのがメニュー開発の難しさだ。
実店舗が無いので、お客様の反応をじかに見ることができず、何が喜ばれて何が好まれないのかを肌感で知ることができないため、どうしても手探りのメニュー開発にならざるを得ない。このあたりは経験と実績で試行錯誤を繰り返して行くしかないだろう。
それにしても、ここ数年のフードデリバリー市場の成長は目を見張るものがある。従来の店舗型飲食店だけではなく、クラウドキッチンも視野に入れて飲食店経営を考えるのは間違いなくアリだ。