大阪万博で活躍か?!SFチックな名前が胸熱「空飛ぶクルマ」
クルマなのか飛行機なのか
空飛ぶクルマ…一昔前のSFに出てくるような、道路を走っていた自動車から羽が出てそのまま空に舞い上がる乗り物を想像してしまうネーミングだが、実際はどういうものなのだろうか。
空飛ぶクルマに明確な定義はないが、一般的に電動の航空機で垂直に離着陸するため滑走路がいらないものを指す場合が多い。
垂直離着陸機は「VTOL」(Vertical Take-Off and Landing aircraft)だが、電動タイプである空飛ぶクルマは「eVTOL」と呼ばれる。
滑走路がないため、素早く狭い場所でも離着陸できる利点があり、次世代の交通機関として世界中の企業が開発をスタートさせている。
日本ではトヨタ自動車の出身者らが設立したSkyDriveや川崎重工業などが開発に参入しており、政府も法整備の検討に入った。
現状、写真を見る限りでは、その外観はクルマというより小さな飛行機もしくは大きなドローンのように見える。
大阪・関西万博に向けて実証実験
2025年に大阪で開かれる「大阪・関西万博」に向けて大手商社の丸紅が「空飛ぶクルマ」の実証実験を進めるという。
丸紅の公式サイトのニュースリリースページには「丸紅株式会社(以下、「丸紅」)は、大阪府が公募した「令和4年度 空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」に採択され、大阪府における空飛ぶクルマ社会実装に向けた実証実験(以下、「本実証」)を行います」と発表されている。
実証実験(社会実験とも呼ばれる)とは、新たな制度や新開発の技術を本格的に導入する前に場所と期間を限定して試行することで、その施策の有効性を検証し問題がある場合はそれを明確にすることができる。
その結果本格導入するかどうか最終的に判断したり、関係各所(地域の住民や使用者など)に周知し意見交換したり合意を得たりすることを目的とする。
丸紅の実証実験プロジェクトは第一段階が2022年10月~12月に大阪ヘリポート、八尾空港、その他場外離発着地の3つの出発点から和歌山県熊野にある宿泊施設までヘリコプターで15往復の予定で行われる。これにより空飛ぶクルマを事業化する場合の価格設定や利便性を検証する。
続いて第二段階として2023年2月頃、大阪市内において米LIFT AIRCRAFT INC.製 eVTOL「HEXA」を使った空飛ぶクルマ実機による有人飛行を実施するとしている。
この実証実験が成果を上げれば、大阪・関西万博が開催される2025年から事業化する計画だ。
空の移動で脱炭素化
大阪・関西万博をきっかけに、空飛ぶクルマでの空の移動が一般化すればどうなるか。
上記の丸紅の実証実験で設定されている大阪府内から和歌山県熊野までの移動は、従来の自動車を使うと通常4時間弱掛かる。しかし、空飛ぶクルマなら30分で到着すると言う。
最初の実証実験は空飛ぶクルマの実機がまだ開発途上のため、ヘリコプターで行われるが、本来使用される空飛ぶクルマが使うのは電気エネルギーだ。しかも時間が大幅に短縮されることでエネルギー使用量も抑えられるのでSDGsの趣旨に適合した乗り物であり、移動手段であると言える。
安全性の確立や法の整備など超えなければならないハードルは決して低いものではないが、空飛ぶクルマが一般的な移動手段になれば将来的に地球環境に優しいカーボンニュートラルな乗り物として認知される日が来るかもしれない。
そうなれば流通を始めとして、ビジネスのあり方にも色々変化が起こるだろう。
どんなビジネスチャンスが訪れるのか、当分は注視しておく必要がありそうだ。