コンサルタントコラム

ラーメン業界で加速する大手FC

立川 潤治

(株)船井総合研究所 フードビジネスグループ チームリーダー  立川 潤治

全国中小企業における「営業部長」的役割で、P/Aさんから社長まで経営者の心の支え­のような存在。
最近では、従業員のやる気を出させる組織育成、人材育成マネジメントを絡めたマーケテ­ィング手法の現場への落とし込みを得意とする。

ラーメン業界は非常に個人店というイメージが強い業界です。しかし、全体の売上で言うと、2017年の予測で、大体4,200億円ぐらいになる見込みです。これは、2011年からずっと業界が伸び続けているということを表しています

ラーメン業界のポイント

失速する個人出店、加速する大手フランチャイズチェーン

中身を見てみると、実はこの伸びは店舗数の増加によるものだとういうことがわかります。中でも大手チェーン店の参画が非常に多い形になっています。大半が、大手チェーン店と言う事は、直営店もあるにせよ、ほとんどFC(フランチャイズ)であることを意味しています。
つまり、味の確立からオペレーション、全てを含んだ「パッケージ」という提案が非常に受けているという業界です。
個人店でも非常に頑張っておられるところも多いんですが、ここ4~5年見ていますと、非常に出店のペースが鈍化しているんですね。そこがまず大きなポイントかと思います。
また海外に目を向けると、大手チェーンのASEAN諸国への出店というのが非常に多くて、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマーなどで非常に出店が加速しています。
 

時間を買うことで成功に導く

ラーメン店を個人で出店する場合、立地判定から味の決定というところがポイントなんですが、それにはやはり時間がかかります。そこで最短半年未満でオープンできるFCとが今注目されているわけです。
FCはロイヤリティを払うビジネスですが、時間を買うということで考ると、単一メニューの専門店であるラーメン店は、非常にFC形態が成功している業界のひとつです。

外食全体で見てみますと、和食とか寿司とかたくさんあるんですが、唯一伸びているのがこのラーメン事業です。今後、アジア諸国だけでなくヨーロッパ、アメリカへの出店というのは非常に面白いビジネスなのではないかと思います。 

ラーメン業界の時流を掴め

時流は『本物』にシフト  

ラーメン業界全体の時流を見ますと、ここ5~6年で大きな変化が起こっています。
キーワードは「本物化」。安心安全な国産の野菜や、自家生麺などできたてのものを消費者に出すというところが、非常に受けています。
ラーメンチェーンでは一時期「セントラルキッチンで一括生産」ビジネスモデルが主流でしたが、最近では個店ベースに自家生麺機を置いたり、野菜のカットを店内でしてたり、唐揚げを店内で漬け込んで揚げるなどがはやっています。「本物」というキーワードを追求しているお店が非常に繁盛しているという訳です。
 

圧倒的パワーで業界を席巻する大手チェーン

その中でも注目すべきところはで、最近のチェーン店の比率です。
ラーメン市場全体の46%ぐらいのシェアを取っているのが大手チェーンです。個人店は反対で50%強ですがここ10年でどんどん減っている状況です。つまり確立された仕入れ力を持った大手チェーンへの加盟が、非常に増加しているということです。

圧倒的な資本力と、圧倒的な出店意欲と出店ペースを持つ大手チェーンと「朝早くお店に来てゼロから仕込む」等の手作り感が唯一の武器の個人店の二極化が起こっているといえますが、今後のラーメン業界の時流は、「より本物を持っている大手チェーンのノウハウを短期的に買う」というところが、ビジネス成功のパターンと言えるでしょう。 

ラーメン店を新規開業する為に必要な事  

個人参入の大きな壁 ー 物件探し  

人でラーメン店を開業しようとした時、大阪や東京、名古屋などの大都会で今、一番壁に当たるのが「物件」なんです。個人で物件を借りるのがなかなか難しいのが現実です。
出店イコール物件なので、大手チェーン、いわゆるFC(フランチャイズ)に加盟することで物件付きで紹介してもらえることも多く、やはり「時間が買える」のが最大のメリットになります。
せっかく美味しいラーメンを作っても、なかなか出店ができないケースを私の周りでも多々見ていますので、大手チェーンへの加盟はひとつの選択肢だと思います。

異業種からの参入にこそ威力を発揮するフランチャイズ  

もうひとつの特徴が、ラーメン業界は非常に異業種参入が多いという点です。ラーメン店を出そうとすると、味の決定、オペレーション、商品企画、販促と、やることがいっぱいあり出店までに長い時間が掛かるのが通例ですが、シンプルに「スープと餃子と麺」で勝負するラーメン業界では『時間を買うことができる』FCビジネスというのが最短の手段ではないかと思います。 

FC本部を選ぶ時に絶対に外せない3つのポイント

そこで重要になってくるのが『臨店』機能を持っているFC本部であるか、本部のビジネスモデル自体が、直営店で上手く成功しているかどうかという2つのポイント。まずはここに絞ってFC本部を選ぶことをお勧めします。

あとは、自分が好きな「味」であるかが最終的な決定打になります。
「このラーメンは美味しいから売りたい!」というマインドでないと、継続的に商売を続けて行くのはしんどいかもしれません。