コンサルタントコラム

建築関連業界でぐんぐん市場を伸ばす住宅リフォーム

南原 繁

(株)船井総合研究所 上席コンサルタント  南原 繁

現在、建設業(住宅、リフォーム、不動産)を中心に年商1億円から1兆円超のクライアント先企業を累計200社超担当する。

入社以来、約10種を超える業界・業種のコンサルティングを経験し「現場主義」「事実­主義」「事例主義」の船井流経営ノウハウのスキルを高め続けている。

住宅リフォームの市場規模は、建築関係の業界の中では、パイ(π) が伸びている唯一の業界じゃないかなと思います。

政策も後押し!住宅リフォームの市場規模は拡大の流れ

「新しく造る」より「今あるものを直す」

皆さんもご存知のように、人口が減って住宅の供給の過剰が明らかに顕著になっている中で、これから新しくモノを建てるよりも、今あるものを直していくという流れは、これから加速して行くことは間違いありません。国の政策もそちらの方に向いていますので、市場の規模がこれからも伸びていく流れはしばらく変わらないと考えられます。

住宅リフォームをやらないで何をやる?という有望株

建築業界の中で上手く事業を継続して行くには、住宅リフォームである程度パイを作らないで、他で何で作るんだと言われているぐらい有望な業界です。市場規模としては6.7兆円ぐらい予測されていますが、2020年から2030年はその2倍ぐらいになるんじゃないかなと見ています。

このように明らかに伸びる市場ですので参入する会社さんもそれだけ多くなってきまして、今ライフサイクルの中では成熟期に入っています。

大手も続々参入!今がビジネスチャンス!!

少し前までは成長期だったのですが、2~3年程前から大手の流通業、家電量販店や、ホームセンター、あと最近ではイオンやニトリなどの本格参入が加速しています。つまり大手が本気で参入を始めたということです。

動向的に大手が入るので一見脅威のようですが、実はこれはチャンスです。
競争が激しくなる一方で、大手が参入するという事は、今まで潜在化していた市場が顕在化することだからです。

つまり、大手が本気で入ることによって、ネームバリューのある会社がリフォームビジネスを始めた、そして本格的で大々的な広告宣伝をかけて販促をするということになります。
これは成熟期の前半に特有の動きです。つまり眠っているお客様が目覚め市場が活性化するというチャンスなのです。

しかし成熟期も後半になれば、大手が参入しきってしまうため非常に厳しくなりますから今がラストチャンスと言えるかもしれません。

住宅リフォーム業界に巻き起こる3つの大きな流れ

どの流れを目指して行くか

ライフサイクルが成熟期に入り大手企業が本気で参入し出している中でポイントとして挙げられるのは、
1.大手企業にお客様が集まる流れ
2.全国に点在する地域の一番店リフォーム会社にお客様が集まる流れ
3.専門店にお客様が集まる流れ
の3つの大きな流れです。

この3つのうち、『大手企業』に急に成長するのは現実的ではありませんし、地域の一番店にすぐになるというのも難しいでしょう。であれば、これから目指すのは『専門店』ということになります。

『タネ』にこだわるか『スタイル』にこだわるか

さてここに「業種発想」と「業態発想」という考え方があります。

業種と業態ということで、「種(たね)」と、態度の「態(たい)」、一文字違いの言葉ですが実はその意味は大違いです。
「業種発想」というのは、昔で言う酒屋さんとか、お米屋さんとか、鞄屋さんとか、おもちゃ屋さんとか、靴屋さんとか、住関連でいうと家具屋さんとか、売るもの、売る「種」だけにこだわる発想ということです。

今から目指そうとしている『専門店』は、そういう「業種発想」の専門店という意味ではありません。
これからは「業態専門店」、つまり業態発想の専門店がお客様を引き寄せてくる流れになると考えられます。

では「業態」とは何か言うと、たとえば、自分達の得意な商品が何なのかとか、売り方が何なのかとか、販促の仕方とか、お店の作り方とか、あと商圏人口と商圏のエリアとか、客層とか、そういうものに全て一貫性を持たせるスタイルのことです。ビジネス・モデルがひとつのパッケージになっているような取り組みがこれから益々求められてくるということなのです。

『よろずや』ではなく得意分野に特化したビジネスを目指せ

例えばリフォームというのは、1万円の小さな工事から、1,000万円、2,000万円の大型の増改築まで、全てを一つの会社がやるというスタイルで今まで来ていることが多いんですが、これからは、そういう万屋(よろずや)的なところは衰退の方向です。

その代わりに自分達の得意な部分、たとえば水周りの得意なリフォーム屋さんや、リペア・小工事の得意なリフォーム屋さん、増改築が得意なリフォーム屋さんとか、中古の仲介の物件にリフォームをくっつける売り方が得意な中古+リフォームの専門店とか、そういう「業態専門店」が、これから注目を浴びると思います。

二極化するマーケットを見極めるのが参入のポイント

質の追求vs手軽さの追求

成熟期は客層が変化します。どういう変化かと言うと、質を追求する、こだわりを追求する層と、手軽さ、安心感を追求する層に二極化するということです。

たとえばお寿司屋さんで言うと、しょっちゅう通うことはできないけれど1年に2~3回は行きたいこだわりのお寿司屋さん。 けっこう流行ってるところがあったりします。もう一方は回転寿司ですね。気軽に安心して、家族連れで行けるというところ。

また喫茶店では、質を追求するというのはコーヒーの専門店ですね。もしくは一流ホテルのラウンジとか。逆の方向は、ドトールやスターバックスのようにちょっと時間つぶしとか、待ち合わせに使えるような、気軽さを追求したコーヒー屋さん。両方の極に分かれます。

手軽さの追求『ファストリフォーム』

リフォームもこれからそういう流れになりますから、参入する場合は「質やこだわりを追求する方向」を取るか、「気軽に手軽にリフォームができる」方向を取るかはっきり方向性を定めないと苦戦するかもしれません。

たとえばわたくしどもがご提案させていただいている「水回り専門店」という業態、「ファストリフォーム」と呼んでいますが、これは気軽さ手軽さを追求する業態専門店です。

リフォームは普通、現場・お宅を見て調査しないと見積りが出せません。ある意味お客さん志向ではない業界ですが、本格的に業者を呼ぶ前に、(ファストリフォームの)お店に行けば、値段の見積りや他のプランと比べて10万円上がったら何が違うのかが分かりますから、選びやすく比べやすい。つまり安心してリフォームを検討できる業態専門店なんですね。

このようにパッケージ化された一貫性のある、何かコンセプトのある業態専門店がこれから注目されると思います。

選択肢としてのフランチャイズ

もうひとつ例は小工事の専門店です。
小工事の専門店も、商圏人口10万~20万で1億円を目指すというようなスタイルが現在主流ですが、単なる小工事だけではなく、ハウスクリーニングとか家事代行とか、草刈り剪定のようなニーズと密着することが必要になります。つまり、もっとお客様視点で生活を応援できるようなメニューの幅を広げた専門店という形をご提案しています。

その場合のビジネスはある程度パッケージ化されている必要がありますので、その1つの選択肢として『FC(フランチャイズ)』というのも考えられると思います。