コンサルタントコラム

外食産業への新規参入で押さえるべき4つのポイント

船井総研 二杉明宏氏

(株)船井総合研究所 上席コンサルタント 二杉 明宏(ニスギ アキヒロ)

同志社大学 大学院 法学研究科 卒業後、2000年 船井総合研究所 入社。

飲食業専門コンサルタント。

入社以来10以上の業種でコンサルティング活動に従事。特に、焼肉業界、居酒屋業界にクライアントが多い。 支援先企業は年商1億円~700億円と幅広い。

今日は外食事業への新規参入にあたって、まず大切なポイントをお話させていただけたらと思います。

ポイントその1、時流に乗るということ

これはどんなビジネスにも言えることですが、まず外食を始めるにあたって大切なことは時流に乗るということです。

船井総研では「流行」と「時流」という言葉を使い分けるんですけど、外食は大きなマーケットで様々な新業態が登場する市場なんですが、そこで短期的な流行やはやりにのって商売を初めてしまうと、設備投資が回収できないうちにビジネスのトレンドが終焉を迎えるという事がよくあるので、目先の(短期的な)「流行」なのか、10年20年続いていく「時流」なのかを見極めることが非常に大事になります。

ポイントその2、FLコスト

ふたつめは外食事業ならではのコストの部分で言うと、異業種参入される方が「外食は面白いね」と言うひとつのポイントに粗利率の高さがあります。

粗利率というのは売上から直接原価を引いたものを売上総利益=粗利と呼ぶかと思いますが、だいたい外食では原価率が30%くらいで粗利が70%という業界です。この辺りが小売業などと比べると、小売業は原価率が7~8割かかるので、外食は粗利が高くていいと思って参入する方が非常に多いです。

その部分は事実だと思いますが、他の産業と違って外食はもう一つ大きなコストがありまして、それが人件費です。

業界ではフードコストとレイバーコストと言いますが、その人件費の売上に対する割合が低いフォーマットで20%、高いフォーマットになってくると30%というふうになってきますので、この辺りのFLと言われる経費の構造は外食ならではの2大コストになっています。

そして経営をする上で、この原価率と人件費率というふたつの大きな変動費、要するにコントロール可能な経費の管理力が収益に直結するということになりますので、このあたりの人の管理や食材の管理が事業をうまく行かせるられるかどうかの重要な項目です。

ポイントその3、売上の天井は「規模」で決まる

3つめとしましては規模が外食業界においても重要になってきます。具体的に「規模」というのは、席数であったり卓数であったり駐車場台数であったり、それらに直結する店舗の坪数、敷地の坪数であったりします。異業種から参入される方は、外食は小さなお店もたくさんあり、どんな商圏でも存在しているので非常に手っ取り早く初められそうと思われがちなんですが、実は他の事業と同様、売上を安定させるためには集客を安定させる必要があります。

当然客数を呼ぶということになると、そのコンセプトがお客様の支持を得ているかとか、ニーズに合っているかとかの視点は当然大事なんですが、そもそも客数を受け入れられる規模というものがあるかないかによって売上の天井が決まってきます。この売上の天井が高ければ高いほど、損益分岐点から離れられる「乖離率(かいりりつ)」が大きくなりますので、この辺が収益と直結しています。

簡単に言いますと、小さな店でいくらいつもお客様が入っているというふうに作れたとしても、固定費のウエイトが高ければなかなか投資回収が進まない、次の出店に進めないというふうなことも出てきますので、どれくらいの規模でやるのかということを重視していただけたらと思います。

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