コンサルタントコラム

新規事業に対する事業性診断

宇都宮勉

(株)船井総合研究所 上席コンサルタント 宇都宮 勉(うつのみや つとむ)

大阪府立大学 経済学部経営学科 卒業

入社以来、現場主義を徹底し、これまでに三百社以上の国内の流通業(メーカー・卸・小売)、サービス業、アミューズメント・レジャー・スポーツ業の開発・活性化に携わる。独自の切り口によるマーケティング分析より、大手チェーンから単独店舗まで幅広いクライアントに対して新業態開発及び新店舗開発から社内体制強化、従業員教育までオールラウンドに携わる。

今回は新規事業に対する事業性診断ということに関してお話させていただきたいと思います。

成功は立地によってほぼ90%決まる!

まずひとつめといたしまして、どのような事業をやるにしてもまずその成功の鍵と言うのは、その事業をやる立地によってほぼ90%決まってくると言うようなところがあります。

一番重視するべきことは立地選定ということになります。どういうところが良い立地かというところで、わたしどもが数多くの新規出店、新規事業の立ち上げのお手伝いをした経験の中でお話をさせていただきたいと思います。

まず、ひとつめとして大きくあるのは、競合が多くても人の集まる場所に事業はやはり展開するべきだということです。

逆によくあるご相談として、「この場所は人口は少ないがまったくもって類似するような商売をやっている会社がない。その中で一人勝ちができそうだからこのエリアに出店したいんだ」というようなご相談を受けるんですけども、実際としてはそのような出店の仕方をしているところはほぼほぼ失敗をしているというのが現実のところです。

たとえ競合が多いところでも、まずやっぱり人が集まる場所。競合が多いということはその商売がその場所で認知されているということなので、まずは競合店の数よりもその商圏の集客パワーというようなところを見て、例え競合が多くても逆に考えれば、すでにそこにお客様がいるということなので、その競合の中で差別化をして行って競合店からお客様を取って行くという方が実は事業としてシンプルなんですね。

競合のないところで自社が自ら一から顧客を作って行くというのは、非常に時間も掛かりますし、新規事業にはそぐわないんですね。あとでもお話しますが、新規事業を立ち上げる上で一番重要視しないといけないのは、その事業をどれくらいで収益にのせていくのかという時間軸が非常に重要になってきます。

ローコストの投資だからとか、この事業が非常に魅力的だからとか、自分が興味があるからということではなくて既存事業よりもシビアに、その事業の収益になるまでの期間を重視しようと思えば、やはり立地の良いところに出店すると言うことがポイントになります。

ひとことで説明できる場所が良い立地

それとこれは意外と見落としがちなんですが、ふたつめとして重要なのはその場所、それが店舗でもオフィスでも、その場所を簡単に人に説明できなければならないと言うのがあります。

よく「何丁目何番地何号」と言われても、ぱっと聞いた人はよく場所が分からないと。例えば多少ちょっと外れていたところでも「市役所の前」とか「国道何号線と何号線の交差点」とかですね。あとよくあるのは「なになに病院の前」とか大きな商業施設、ショッピングセンター「イオンの前」とか、その地元でランドマークになっている「なになに公園のモニュメントの向かい側」とかですね、人に簡単に説明できる場所と言うのは、場所の認知が早く広がります。逆に人に説明しにくい場所は地図を書いても分かりにくいと。

やはりそこにお客様に来ていただく、クライアントに来ていただくことを考えれば、駅から遠いとか駅から近いとかは、当然駅から近い方が良いということはあるんですけども、なかなかそういう好立地が見つからない場合は、とにかく一言で説明できる、「あ、なるほどそこなのか」「そんなところにお店を作ったんですか、オフィス作ったんですか」と言われるような場所でないといけないということです。

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